転生しても幸せなんて見つからない。
翔馬
第1話 最悪の過去。
私はどうやら生まれ変わったらしい。
ちゃんと、死ねたんだね。良かった。
私の前世は最悪だった。
どう最悪だったかというとまず親に望まれた子ではなかったらしいということ。
出来の良い姉妹がいたことが不幸のもとだったのかもしれない。
とはいえ姉や妹が悪人だったわけではない。
だからこそハッキリと憎悪を表に出すこともできず苦しむはめになったのだが。
そして次に、子供ゆえにひとりで生きることができず親に媚を売ることで生きる醜い人間になっていたこと。
良い子でいることだけが唯一生きる道であった。
他に生きる
お前なんか産むんじゃなかった。
それは最期に聞いた母の言葉である。
ああやっぱり、と。
そうとしか思えなかった。
親子関係はとっくに破綻していたのだ。
そうして更に、他の子供より体の成長が早かった私は性的ないたずらをされていた。
学校内の大人に。
君がこんなことをされたと言っても信じないだろうね。君は嘘つきなんだと言われるよ。
そう教え込まれ、誰にも信じてもらえないのだと思い込み、遂には言えずじまいである。
私は何度も死のうとした。
山に登ってみたり台風の最中に家を出たり睡眠薬をあおったり。
痛いのは嫌だった。
親に叩かれるだけでもう十分。
今となってはどうやって死んだかわからないけれどやっと、解放されるんだ。
そう、思っていた。
今世では、幸せを見つけられるだろうか?
でも気づいたんだ。
無理だって。
だって、私、
幸せが何か、知らないんだもの。
そこにあっても、
わからないじゃない。
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