第3話

…私の制服のリボンは風にたなびいていた。


ここは何なのだろうか、きっとここは日本では無いことは煉瓦の壁や赤煉瓦の家や独特な風の匂いから異国の雰囲気がするので、容易に想像出来た。


ふと見たのはスマートフォン。お母さんとお父さんが何かあった時に、と持たしてくれたスマホは圏外。

困った。これではお母さんにもお父さんにも助けを呼べない。

ーーー( ̄□||||!!

今もしかしたらもう学校は始まっているのではないか??

ああああどうしよう

学校では私の好きな古市先生がいるのに!!!

私は普通の日本の中学生でごく普通の一般家庭(中流家庭)の12歳の女の子です

だからお家に帰らせてよ

魔法でもなんでもいいから!!!

と思ってもなにも起こらない。その証拠に自分の手の中のスマホは圏外のままだ。

こうなれば、動き出さなければなにも始まらない。何も見えないのだ。

なにか元の世界に帰る手がかりが欲しい。


私は白い中学生のセーラー服のまま意を決して歩きだした。

やはり、ここではセーラー服は目立っていた。


だけどどうしてこのセーラー服を着た私には誰も何も言ってこないのか…もしや私がほかの人には見えていないのか?

と思ったその時話しかけられた。


莉衣葉リーファ?」


「おばぁちゃん!!?」

あらあら、まあまあ立派になって、とコロコロ笑うのは莉衣葉の祖母のミミ


莉衣葉が驚いたのは知らない場所で自分の祖母にあったからではない。


―莉衣葉は祖母のミミは死んだと聞かされていたからだ。


莉衣葉の目には祖母のミミが既に死んでいるとは到底思えなかった。

ニコニコと朗らかに笑うその笑顔は、莉衣葉の知るおばぁちゃんそのもので、そこ知れない恐怖と好奇心が莉衣葉を刺激した。


祖母のミミに「莉衣葉リーファ」と呼ばれたことは莉衣葉の頭からは完全に抜け落ちていた。


「おばぁちゃんは亡くなったんじゃ…」

絶句したように言う孫を面白そうにミミは言う。


「もちろん死んでなんかいないよ、私は本物さ」

「本当に…?」

そうとも、触ってご覧と言われ、莉衣葉はぺたぺたとミミの顔を触る。

シワのある顔とアンバーの目の色は変わらず確かに莉衣葉のよく知る祖母のミミだった。


「本当におばぁちゃんだ」

「だから言ったじゃないか、おいで莉衣葉リーファこの世界を案内してあげよう」


「えっと、この世界??」

「この世界は魔法界、約100年ぶりに人間界と繋がってねぇ

今日がその時ってわけさ」そう、ミミは言った。

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