第36話 なあ誰が好きなんだ

「なあ誰が好きなんだ」

 突然ましらが携帯から顔を上げ俺の顔を見た。

「え、いきなり、なに」

 あの紙のことを知らないはずの猿に動揺する。

「いや、なんとなく」

 不思議そうな顔をする猿に俺はうつむいて囁いた。

「俺には選べないよ。みんな大好きだし、ひとりなんて」

「……そう」

 寂しそうな声が耳に届いた。

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