第71話 異世界転生人集う

異世界転生人たちはギルドづてで悪竜犠牲者の会を開いた、

いままで数えただけで30万の異世界転生人が悪竜の犠牲になり、

死に絶えたとあっては、のこる異世界転生人たちだけで立ち上げた、

コミュニティーは無事存続させる使命を彼らは持っていた。

「次に来る転生人たちの助けとなる為にも」

ユジリアと悪魔王国ヘビュートとの戦いはユジリアになんとしても勝たせなければならない、なにせ悪竜使いともなる一等文士がかの国についたのであるから、

「後続の徒の為にも、ここで我らが、ユジリアの盾となって戦うこととするぞ!! 続くものはいないか!!」「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

異世界転生人の勇猛なことは確かであり、その数は今や、現地人と一体となって数を増し、戦いに勝って異世界転生を無事に果たしたという事実を得るために躍起になっていた。 いまやクエストの数をみても、悪魔王国ヘビュートへの戦に向けた、戦準備一色であり、軍隊の一番先頭を切るのも異世界転生人達である。

 「進め―! 進め―!! 決戦の地へ集えー! 敵は 悪魔王セイカリテル!!」

「セイカリテルの首をあげたものは 勇者として後の代に永久に残るであろう!!」

「続け-! 続け-! 戦列を乱すな! 敵の行軍を確認したぞ! 前へ!前へ!」

「先鋭か? 敵の一陣を発見した、射掛けよ!!!」


異世界転生人を先頭にきったユジリア同盟軍団の勢いは凄まじいものであり、

いまや、国境を越えて、北国ヘビュート域内で獅子奮迅の暴れようである。

「このまま本土まで進むぞ!! 敵の罠に備えよ!!」

行軍のあまりの速度にセイカリテルの軍は追いついていないようである。


「出るぞ、カルモン!」

「はっセイカリテル様出陣!!!!」


形として相手の進撃を待つこととなったのは、セイカリテル軍が思いのほか準備が、

整っていなかったこともあってか、悪魔王城近くまでに敵の進軍を許してしまった。


(おのれ一等文士め、これも狙いのうちか!?)

「悪魔王セイカリテル、押しとおる!!」

ユジリア同盟の一隊に目をつけたセイカリテルは自らが率いる魔軍で押し潰し、あっという間に潰走させる勢いである。

「出たぞ! 敵の本隊だ!! ぐっ!! つよい つよすぎる!!」

魔人、魔族、巨人族を中心にした闇を疾走する部隊に、光の魔法で対抗しようとするものの、魔法使いで結成された部隊の耐久力は魔族に劣り、押されている。

「だが、負けるわけにはいかないのだ!」

ただ魔法使いの盾となるのは異世界転生人1万を越える部隊組織、

直接魔族とぶつかっても引けを取らないその馬力はいかほどか、

巨人を薙ぎ払い、魔竜を引き裂いて、悪魔王セイカリテルの首に迫る勢いである。

「ほう、なかなかやるではないか、だが!」

セイカリテルが詠唱を始めるとともに、悪魔軍魔導軍団もまた同時に詠唱をはじめ、

大地に黒き星を叩きつけて、ユジリア軍の中心に大穴を穿った!!

「そして!召喚する!」

羽の生えた悪魔の眷属を、敵の中央に突如出現させ、相手を分断する作戦だ。

これにはユジリア同盟は連携を取れず、転移陣をきって一時撤退を余儀なくする隊も、多く出てきている。

「ユジリア本隊、きました! ユジリア王のご出陣です!!」「来たか援軍が!」

「ユジリア王、きおったか、後ろで控えているな」

ユジリア同盟はその軍を100万として敵対する悪魔軍に勇猛果敢に立ち向かっていった、対する悪魔軍も数では負けていないが、光の魔法に脆いことを相手に突かれて一進一退の攻防は激しく、どちらも血と汗で戦場を埋めつくし、

何度となく激戦が繰り返される模様を、クシ王国から来た騎士達も目の当たりにした。「これが最大の戦というものか、今までに無い大戦、全力を尽くさねば!」トマフと竜騎士シンボリックも加わっての、乱戦模様は次第に混戦し、矢弾もつきはじめ、双方の魔力が極まって、大地に炸裂する度に兵は散り、震撼す。

 「まだまだ戦い続くものは前線へ!! 救護が必要なものは退けえ!!」

「ユジリアが崩れ始めたぞ!一気に攻め潰せ!!カルモン!!」

血と汗、そして涙、何もかもが散っていく戦場の定めの中で、これをかき集めて記すが文士の役割ならば、より一層に書きたてる。 そしてこの大地をつつむ暗雲は確実に、眼下に広がる善と悪のぶつかりあい、カオスの深層を飲み込んで拡張を続けている。 「そろそろか、いかぶん、時間が掛かり過ぎたな」「一等文士どの?」

「一等文士!? 悪竜使いが来ているのか!」大魔女テファイはその姿を目視で確認し、戦場にまで足を運んだ悪竜使いが、なにをたくらんでいるのかを理解した。

その時。

 「皆のもの、決死の戦い実に素晴らしいものである、ここに更なる花を送ろうではないか! まだまだ戦いは始まったばかりなのだから、人類と魔族の未来を決する戦いには、より強大なチカラの源が現れなければ面白みに掛けるというもの」

「悪竜使いめ!!」

「いまよりこのち悪魔国ヘビュートはトンベンマガスガトリクトと融和し!

 真に魔の支配する大地となる! みるがいい、 人間ども魔族どもよ!!」

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