第23話 この世界は平坦だ

 おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、

 はからい、おしごと、ともだち、あくにん、


あらそい、ある家とある家で決闘を申し込んだ片方が、

前日に急病で寝込んで、決闘代理を申し付かった俺、

とりあえず、この決闘を適当にこなすが、

下手をすれば一生残る傷ってところを、

まあなんとかやられ役をやってやることで、

軽いけが程度で済んだんだが

「この程度の腕のものをよこすとは舐められたものだな」

なんてセリフ吐かせちまったからちっと、

クエスト依頼も失敗かなと思ったが案外そうでもない、

薬代まできちっと頂いて、三日くらい休むことにした。


争い事には手を出さない方がいい、

絶対にけがする羽目になるからだ、

そんで違うことが出来ねえなんてなったら、

元も子もねえんだから、これは決定事項だ。

やれるならもっと別の事をして稼ぐっきゃねえのよ本当に、


三日たった、傷のほうも軽いもんだったから後には残らねえ、

さてつぎはどういうクエストだ?


 おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、

 はからい、おしごと、ともだち、あくにん、


もめごと、ってながなんなのかは分からないが、

どうも血が出るようなものではなさそうだ、

あっちとこっちを行き来してれば問題は解決する。

ようはあいつの言い分とこいつの言い分を二つとも、

あたま冷えるまで言い合っていれば結果がでてくる。

その結果が俺が洞窟に大事な品を取りに行くだったんだが、

その大事な品というのが懐中時計、

なんでも二組がもめたせいで、落としちまって、

弁償するかしないかでもめてたそうだが、取りに行けば早い。

ランタンやら縄、岩につっかかるピッケルやら杭なんかも、

一式そろえていってみたが、充分手の届く範囲だったから、

なんのこともねえや、体が動く限りのことをやって、

あとは手当たり次第、洞窟の底、はいつくばってたんだが、

どうやら金ぴかを集めるのが好きなのは人だけではねえってなで、

こっちが用意した短剣で無事しとめると、

影だけでわからなかったが蛇のオバケだこれは、

巣穴に手ぇ突っ込んでひっぱりだしてみれば、

金貨やら銅貨やらがじゃらじゃらと、なかに、

あったぜ金ぴか懐中時計。

これでもめごとのクエストも解決だ、

2人して洞窟なんか行くから悪いってなだが、

依頼主から無事に金せしめることも出来た。

そんなこんなでまた一週間がたっちまいそうだ、

休日になにをするか決めかねていたが、

どうやら、悪竜騒動があったそうで、

とおくこんなところまでビラが届いてきやがった、

超大国ユジリアで起きた悪竜大戦争、

見事に仕留めたのは最新式魔導砲とやらだそうだ、

いつかそういうクエストもやるのかどうかは知らないが、

そんなもんがうようよしてるだけで厄介極まるのは確かだ。

悪竜といえば人が退治したという噂もあるが、

魔導砲でないと駆除できない規模のものとなると、

おおよそ人が退治するなんてのはデマの類なんだろう。


おおっと、なんでもその悪竜の鱗やら骨やらを展示する、

マーケットが近く、開催されるらしく、

それにちなんだ、小さい鱗や棘なんかもこっちの、

宝石店なんかに入ってきているって噂があった。


竜の鱗にどんな効用があるかはしらねえけど、

竜の牙だって言われると首飾りのひとつも、

欲しくはなるわな、ということで、買って身に着けて、

無駄遣いのひとつもやってみたわけだが、

どうだろう、こんな生きかたでもそれなりに

自分らしい、って思えるから悪くない、

まだ名乗るほどのもんじゃねえ、

名声が始めっから備わってるなんてのは、

主人公気質が強すぎるってもんだ。


さて来週はマーケットがてらのクエストでもみておくか、


 おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、

 はからい、おしごと、ともだち、あくにん、

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