第17話 二世の身体に関して

大きさは城下を軽く押しつぶしてしまうそのカラダ、

全身から吹き出しているスキルは食べた異世界からの、

えーっと異世界転生人のスキルで溢れてる。

だからそこら中がデータだらけで、うろこ一つ一つに、

色んな特性や耐性、人間が持ちうるだろうすべての、

特殊能力や魔法が詰まっているというのだから、

怖ろしくて怖いわね。

でもそのデータだけじゃ心臓部を守れなかったみたいで、

そこをつけば良かったんだけど、異世界に転生して、

間もない人たちには、死んだときのトラウマが、

フラッシュバックしてしまうみたいで、

その時の記憶まで消して置けば都合のいい神様なのに、

何人もの異世界転生人達がけがをして呻っているわ、

「トラックが」「橋が」「毒が」「溺れる」

死ぬ一瞬の時にある意識がどうなのか、

その一瞬はかなり時間があって地獄のような、苦しみなのか、

みんなその苦しみを通って死んでいくのかどうかは、

分からないけれど、誰もがそこを通って転生するわ。

終わってしまった前の人生から次の人生へ転ずるなんて、

前の記憶を引き継げるなんてすごいことだけど、

それが全部、悪竜のウンチになっちゃったら、

もとも子も無いわね。

悪竜の強力な体液と相まって出てきたウンチにも、

薬としての効力があるだとか、悪竜を値踏みする、

闇商人の群れだかりが出来てきたわ、

表で売れないものを扱うから闇、

だから闇商人だというけれど、

こういった、国家が国家でなくなってしまったところに、

顏をだすような人を、ハイエナって呼ぶんでしょうね。

巨大な悪竜の死骸をたかってるわけだから、

文字通りのハイエナなのは間違いないけれど。


悪竜の体の中には宝物庫があって、

悪竜の肉は死んでしまえば食べれるようになるわ、

これだけの量の肉を裁くことは出来ないから、

大半は薬の原料にするために干し肉にしてしまうだろうけれど、

隣の国、クシ国からも、どの国からも、

悪竜と一緒にテヌ国を切取ってしまおうと手が回って、

気付いた時には、

異世界転生人たちは、もう散り散りになっていたから、

その後、どこかで出会うこともあるんでしょうけれど、

悪竜に大半食べられてしまったから、

その確率も低いでしょうね。


これを読んでるあなたなら分かることだとはおもうけれど、

異世界で力をつけるにはそれなりの覚悟がいりそう、

すべての問題を無しに出来るだけの文士が大量に、

いてくれれば問題はないのだけど、この世界では、

まだそんな文士が立ち上がって異世界転生人の、

助けをするだけ元気も気概も無い状態なのね、

難しい話だけど。


そうそう悪竜の身体だけれど、

その身体は既に、別の王国の所有になってしまったから、

バラバラになってわたしの検分が届くところに無いわ、

こうなると他の一等文士や文士たちの領分ということだから、

わたしの作った報告書はあくまで、一般人の所見ということで、

何割かそのチカラを失ってしまうわ、

だからはやく文士になりたいのだけど、

文士になってしまえば、あとはディテールを詰めるだけで、

冒険が出来なくなっちゃうから、厄介な所よね。

本当に。

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