トンベンマガスガトリクト

ウゴカッタン

第1話 それでいいのか

冒険をはじめましょう、

物語を始めよう、

さあ一歩歩き出して、

それでいいのか?

いいなら始めよう、

悪竜トンベンマガスガトリクトが、

いかに悪竜になったかを。


トンベンマガスガトリクトは、

トンベンマガスガトリクトという名前を、

姓と名で合体させて生まれた悪竜。

そして悪文である。


悪文やら悪竜やらがあるなら、

善文やら善竜なるものも存在する。


どこが悪なのかって?

存在そのものが悪である、

まずその鳴き声を訊くといい、

「アンガリャスパットギミテイクトジラガノレスポストミス」

決して声に出すことが出来ない、

脳が記憶することを否定する文字列だ。

仮にこれを覚えて声にだせるものが居たとするなら、

きみも、

トンベンマガスガトリクトの冒険に、

巻き込まれた被害者と言えるだろう。

知能だけはある、

それが僕と君の心なしか悪たりえない部分であり、

トンベンマガスガトリクトの被害者たる善人と、

いえるわけである。


悪竜と略そう、

彼らには知性が無かった、

悪文と同じくに。


まず文才豊かな我らが文人が植えし、

オーラ豊かな字面が畑、はえる。

栄えると書いて生えているが、

ふつう文人たるはこの文字羅列が、

棚畑を順列よく収穫する。

その結果、理解が発生し、

世界が広がり、物語がはじまる。


だが悪竜は畑ごと食べてしまう、

ゆえにあらゆる文章は彼にとっては、

悪食の悪文であり、その悪成分が、

彼を悪たらしめてる本文らしいのだ。


「おおこわ」

これは有名なあなたのセリフだが、

このセリフを言ってる以上、畑に興味があるのだろう?

善人である。


善人はトンベンマガスガトリクトの、

鳴き声を真似たりしない。

だが真似てしまった、

そんな悪竜言語の理解者は、

被害者。


「さあて、

今日はどんな悪文を、

食べてやろうかな?」

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