I3P...遅刻

部屋に響く着信音で目が覚めて

枕もとのケータイ画面に

上司の名前があったら最悪だ

寝坊である


諦めにも似た溜息も早々に

通話を開始する


ちょっと驚いたような演技をして

相手に時間を聞き返しつつ

どれくらい遅刻したのかを知る


あとはひたすら平謝りだ


通話を終え

目薬くらい付けていこうと用意するも

いつもと違い

何度点眼しようとしても

震えているのかうまくいかず

思った以上に動揺していることを実感する


荷物の準備は前日中に済ませているから

一応まあ着替えるだけで家を出ることもできるが

それではちょっと遅れて起きた時に挽回できるくらいで

今日に至っては何の意味もなさなかった


家を出て

感じる風はいつもより冷たく感じる

遅刻した理由を答える為に

考えながら急ぐが


昨日見たコメンタリーがよくて

満足感いっぱいで眠りについたとか

ろくな理由しか思いつかない


そしてそんな日の歩行者信号は

普段より赤信号が長い気がする

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