眠れぬ夜に

咲かせたい花がありました

君に捧げたい花だった


どんな色をしていたのか

いつの頃からか分からなくなりました


あわよくば  君の頭になりたい 


ポケットの冷たさは 

ききわけの良い子ヤギのように

眠りについて死にました 


祖父の形見の懐中電灯は

午前1時を指している


時は加速して やがて停滞して

僕を惑わせる

きみの笑顔ほどではないにしろ

僕を惑わせる


午前2時 軽やかに

僕を追い抜いていった影ひとつ


その背中に翼は生えていなかった


ふたたび翔けるために

僕にも翼をくださいな


ちいさな掌で 

美しい花を咲かせましょう


時は無常に流れ 世界はまわる


僕に翼を 君に花を

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る