deep scar
咥えた指先の感触さえも
霞んでゆく秋の夜半
迷いの森は耳もとでささやく
何も果たせずに
消えてゆく美しさはいらない
取り巻く世界が色を変える
あなたの わたしの 生命が谺する
呼び合うのは ただ一度だけでいい
裂けるような痛みは
愛だ、と言い聞かせて眠る
白い肌に哀しくも妖艶な傷痕
躊躇いなく愛してくれたのでしょう
愛と呼べるもの
欲しているのなら
鮮血のしたたる根源に
くちづけを
わたしがしてあげられるのはそれだけ
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