第14話:ヒトではないモノ
第14話:ヒトではないモノ
「奥はちょっと暗いなぁ。せめて後一本
独りごちるトワ。
トワの言葉通り、出入り口の
ちなみに作った
基本作業机は豆腐ハウスと豆腐
木炭を作る
今もカマド付き調理台は木炭を生成しているだろう。
豆腐
不安を解消する為に木炭生成中で火を放っているカマド付き調理台のカマドの中に木の棒を入れてみたのだ。その時、木の棒を通して流れてきた
そして、それによってもう一つ分かったのが、やはり単に木材系のアイテムを燃やしたところで『木炭』にはならない事だ。
燃え尽きた木の棒に対して
カマド付き調理台だけでなく
結果としてむき出しの炎を放つ
「もう、いくつか木炭出来てるやろうし、取りにいこうか」
ここで寝て、明日回収するという選択肢もあったが、トワには奥の暗さが気になって仕方がなかった。
日本にいた頃も寝るとき、蛍光灯は消すのではなく常夜灯にするタイプだ。
実はトワはホラー耐性ゼロであった。
トワがこれまでプレイしてきたタイトルで、ゾンビが主な敵のサバイバル&サンドボックスゲーム、
ちなみに、ゲームはゲームでもホラーを前面に出したタイトル。
「よしっ、『
玄関の
トワは一瞬外に出た事を後悔したが、突っ立っていても仕方ないので豆腐
トワは豆腐
豆腐ハウスを出る時には気付かなかったが、もしかして『木の守護紋付きドア』も同様であったのかも知れない。
少し、気にはなったが考えても何も分からなかったので、そのまま豆腐
豆腐
「……という事は燃料がまだ残ってるって事やんな。スピード調整でけへんのかなぁ」
少し愚痴をたれつつ、トワはカマド付き調理台に手を触れる。
調理台パネルが現れる。調理台パネルのアイテム配置枠は、3×3の料理素材、1×3の燃料、1マスの料理、1マスの木炭によって構成されていた。
カマド付き調理台の使い方は、まず燃料を設置しそれを
コノコノの実とクロスベリーの実は生で食べられるし、イノシシの肉は
まず、イノシシの肉が今後手に入らないであろう事。もう一つは調味料がない事だ。
単に肉の入手だけならなんとかなりそうだった。
しかし、それが通用するのは小型動物がせいぜいで、例え標準サイズであってもイノシシは厳しかった。弓と矢の
そして、トワがプレイしたゲームの中には、ネズミの肉やトカゲの肉といったものも食べられるタイトルがあった。
その意味もあってイノシシの肉を安易に使用するのは避けたかった。
今後、ネズミやトカゲの肉を食べていかなければならないかも知れないのだ。
ならば、まだまっとうと言えるイノシシの肉くらいはおいしく食べたい。それがトワの切なる願いであった。
出来ている分の木炭を回収して、
そして、
「じゃ、戻ろうか」
豆腐
トワは唐突に足を止めた。いや、自分の意思で止まった訳ではなく、背後から感じる壮絶な怖気に足が凍りついたのである。
なぜ失念していたとトワは悔いた。
いる。
豆腐ハウスはセーフハウスの役割もあったはずなのに。トワはうかつにも外に出てしまった。あるいは昼間のイノシシとの命をかけたやり取りで危機感が若干麻痺していたのかも知れない。
トワの足は動かない。
このままでは、
足が震える、歯の根があわずカチカチと音を立てる。恐怖と嫌悪感で心臓が締め付けられるようだ。
だが……。
このままやったら、確実に殺される。
トワは震える歯をこらえて、唇を強くかみ締めた。口の中に血の味が広がり、一瞬だけ自らを縛る拘束が緩んだ気がした。
「動け!!!」
自らに叱咤し、トワは駆けた。一度動き出した体は急発進した負担に骨と筋肉をきしませながらも、忠実にトワの意思に従った。
豆腐ハウスに入る瞬間、トワの視界に
形で言うなら、それはヒトに近かった。ゾンビのように肉体が腐っている訳でも、幽霊のように肉体が透けている訳でもない。
それでもなお
だらりと下げた両腕、地面をすりながら歩く両足。傾げるように斜めの顔。
どこがヒトと違うのか、そう問われたなら、トワはこう返答しただろう。
『全てや!!』
人間としての本能が、
トワは豆腐ハウスに駆け込むとドアを勢いよく閉めてかんぬきをかけた。
そして、祈った。中に入ってきませんようにと。
しばらくして乾いた破裂音が聞こえた。
トワは
しかし、その後何も起こらず、
去った?
だが、トワにはドアをあけて確認する事も、窓から見る勇気もなかった。
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