第10話:どちらの選択が正解か
第10話:どちらの選択が正解か
イノシシの死骸か、石の確保が先か。
トワは迷わずイノシシの死骸を選択した。
崖の上に
「しかし、ほんまでっかいなぁ」
砕けた頭をなるべく見ないようにしながら、イノシシを観察するトワ。
こうして、安全な状態で見ても、明らかに常識外。体長はゆうに2メートル越え。しかも幅の太く四肢もまた太い。これはもうトワの知るイノシシではなかった。
ここは日本ではない。
今自分のいる地がどこかはわからないトワであったが、このイノシシの死骸を見て少なくとも日本、いや地球ですらないという事を確信した。
まぁ、考察など
だが、
皮を得る手段は
進んで剥ぎ取りを行いたいとは思わないが、
例えば、コノコノの木に対して
トワはさらに考える。素人であるトワがケモノの解体などできるのか? グロイという問題はさておき、皮を剥ぎ、食べられる部分と食べられない部分を切り分ける。
そして、皮にしろ肉にしろ、普通はそのままでは腐る。
選択肢は2つ。
「『
トワの判断は早かった。
2つの選択肢のどちらにも正解が見出せなかったからだ。結局は《力》の仕様の問題。それは使ってみないとわからない。
なら、使って仕様を確認した方が良いと思ったのだ。
結果として皮が手に入らなかったら痛いが、授業料だと思うしかない。ゲームと違い、
そして、イノシシの死骸のあった場所には三つのものが残った。砕けた頭部も地面を濡らしていた血もキレイに消えた。
「……『
一つの山場を越えて、トワは大きく息を吐いた。無事皮は手に入り、おまけに死骸どころか血まで消えた。これで他のケモノが匂いにつられて来る可能性も低くなるだろう。
解決すべき事はもう一つあったが、これに対してはトワは楽観していた。まぁ、少なくともイノシシの処理に比べれば、たいていの事はマシに思えるだろう。
他のケモノがトワ自身の匂いをかぎ付ける事もありうるので手早く処理する事にした。
石の入手。これはまず壁の断層、それの岩部分を
トワは木や土にそうしたように、壁面に手をあてた。だが、すぐに眉を潜めた。
トワは一度壁面から手を離す。
実はこれは事前に想定していた。土、木では
となると、事前に準備をしていた
「『
トワの左手に木のツルハシが現れる。
サンドボックス系ゲームでは石や鉱物を掘る必須
ちなみに木に対する
トワはツルハシの先端をコツンと軽く壁面に当てた。今まで手を通していた
「やっぱり、ただ当てるだけじゃだめなんかな?」
力を込めて壁面に突き立てようと、ツルハシを一度壁面から離したが、奇妙な事に気付く。ツルハシが壁面から離れたにも関わらず、壁とツルハシをつなぐ
トワはもう一度、軽くツルハシを突き立てる。
さらに壁面に力が加算される。
「なるほどなぁ。どれだけ力込めたかじゃなくて回数でカウントされるんか」
さらに壁面にもう一度。そして、そこには四角の窪みと、窪みより一回り小さな
「
晴れて
「いよぉーし、掘るでぇ!!」
気合をいれてさらなる石材を掘るために、トワはツルハシを振り続けた。
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