溺愛もふもふパラダイス② ~異世界の王子が干物女子にプロポーズをした~ 

ayane

プロローグ

 ―二千十七年五月二十日―


 ―ホワイトメイディ王国―


「……ナギ。ありがとう。セガ、行くぞ!」


「おう!ナギ、地球で待ってるからな!」


 俺達はナギを残し、深い森へと走る。


 森は獣族の領地だが、地球に通じる異次元ポータルが存在している。獣族が周囲にいないことを確認し、異次元ポータルの下に立つ。


「ナギ、大丈夫かな」


「セガ、ナギなら大丈夫さ。エルフの王子なんだから」


 俺達は右手を高く上げ、赤く光る指先で円を描く。空中に丸い穴が開き、次の瞬間、地面から体が浮き、俺達は異次元ポータルに吸い込まれた。


 ポータルの中は夜空に星が散りばめられたような、美しい異次元空間が広がっている。


 広い宇宙の中で見つけた……

 運命の人……。


 ――優香……


 待っていてくれ。


 必ず……君に逢いに行くよ。


 ――運命の扉が開き……


 視界に、太陽の光が飛び込む。


 ――これから始まる……


 新たな未来……。


 俺達は背筋を伸ばし、その地を踏みしめた。



 ◇◇


 タカとセガが地球に転移し数分後、一人の男が空港に降り立つ。


 鋭い眼差しは深いブルー。その瞳はタカとセガの背中を捕らえている。黒い軍服の内ポケットには銃を忍ばせているが、彼が取り出したものは無線機だった。


「エジソン大元帥だいげんすい。やはりあの異次元ポータルは地球に通じていました。タカ王子とセガ公子を発見、暗殺しますか」


『待て。暫く泳がせておけ。我らの敵は、我が王国を支配している国王とギダ殿下。二人の暗殺が先だ。万が一、タカ王子が我らを脅かす存在となったならば、仲間共々拉致し暗殺する』


「畏まりました」


 不穏な空気が……

 彼らの未来を暗黒に包み込んだ。

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