174 ショッキングピンクの忍者は基本でしょう?
あれからは、朝練で地味に練氣の自主練、セイさんとドラゴンオーラで組手、最後に的を使って死剣の訓練している。
そして、夜はエターナと迷宮でレベル上げ。ドロップした装備や宝箱から出た装備は、王都に作ったゲインたちの秘密のアジトに置いてくるを繰り返している。こちらを裏切ることのないようにエサは必要だからな。どうせたいした装備じゃない。
エターナの装備は良いものが出る度に変更しているが、そろそろちゃんとレベルに合った装備に変えてやろう。
「なんや、ルークやないか、どうしたん?」
「舞姫さんって、刀作れます?」
「うちは無理やな、刀鍛冶は特殊やねん」
「知り合いに誰かいませんか?」
「いるけどな、まだたいしたもん作れへんのや。使うてる人に聞いたほうがえぇんちゃう?」
セイさんにでも聞いてみるか。
「エターナの装備をお願いしたいんで、ショッキングピンクのくの一装束をおねがぃ……」
パッシーンとハリセン攻撃が頭を襲う。心眼をも破るとは何者!
後ろを見ればエターナが頬を膨らませ、ハリセンを構えていた……。お前、主人の頭を叩いたな! そこに直れ、成敗してくれるわ!
「まあまあ、ルークくん落ち着いて。今のはルークくんが悪いよ」
エターナはこんちゃんの後ろに隠れて、うんうん頷いている。
「エターナちゃんの装備は、私たちに任せてもらうから」
「ルークは帰ってえぇでぇ」
さいですか。じゃあ任せるよ。
それからマーズ。なぜ、お前がここに居る?
「クロスボウの改良をしてるんだよ。ここはアイントンさんの工房も近いからね」
「改良?」
「最初は銃を作ろうとしたんだ。黒色火薬は元からあるしね。それに、錬成って便利なスキルもあるから、将来は無煙火薬もってね」
「ほーう。それで?」
「使徒様から無煙火薬は駄目~って言われちゃった。黒色火薬や褐色火薬で銃を作ってもねぇ」
チッ!
「だから、クロスボウの改良をしてる」
「どんな風にだ?」
「魔道具で自動巻上げにして、下に二十本入りの弾倉を付けて自動装填式にしてみた」
「次装填までの時間は?」
「五秒。それより早くすると、部品の消耗が激しくなる。今、耐久テスト中だけど、連続千回超えたところだよ」
マーズさん半端ねぇっす。それ、ください。すぐ、ください。
「まだ、駄目だよ。もう少し調整と軽量化による強度、耐久性を見るからね」
「大量生産は可能か?」
「難しいね。採算度外視だし、巻上げの魔道具が面倒くさい。これ一丁で今までのクロスボウが五十丁作れるよ」
うっ、それは厳しい。取りあえず、何丁か作ってもらおう。
「黒色火薬はあるんだよな?」
「鉱山で使ってるみたいだよ。余り性能がよくないから、たいして使われていないみたいだけど」
「榴弾砲を作ってくれ。あれは黒色火薬でも問題ないよな?」
「カノン砲ってこと?」
「無煙火薬が駄目なら、それしかないだろう?」
「そうなるのかな?」
「魔法は威力があるが、飛距離が短い。ロングレンジの攻撃が欲しい」
「お金掛かるよ?」
「負けたら、いくら金持ってても無意味だ。構わん、今は使う時だ。使ってしまえ!」
「らじゃー!」
ということで、降魔神殿に戻った。
部屋に入ると、さくらがぷかぷか浮いている。なぜ?
浮いているだけで、移動はできないみたいだ。空中で猫かきしているが、思ったようには進んでいないようだ。
さくらを見上げているレイアに事情を聞くと、ニーニャが飛空船にさくらを乗せて飛ばして天井近くまで行った時、さくらが下を見てしまったらしい。思った以上に高く感じたんだろう。恐怖で体が強張り態勢を崩して落下した。みんな、あっ! っと思って落下地点に集まったが、さくらがいっこうに落ちて来ない。上を見上げると、さくらがぷかぷか浮いていたそうだ。
ワサビを煎じてぶふっとなる……もとい、禍を転じて福と為す。スキルを開眼したんだ。流石、さくら。
ニーニャが羨ましそうに見ている。俺も羨ましい。死に戻り覚悟で崖から飛んでみようか……。
ニーニャが可哀そうなので、オメガの所に行き新型飛行船の予備を貰って来た。
スイッチを入れ、ニーニャにゴーグルを被せる。ピンっとミミとしっぽが立った。最初は俺が操縦する。さくらの周りを旋回したり、にゃんこ共を追い掛け回したりした後、ニーニャ自身の目の前に静止させる。
ニーニャはゴーグルを外したり着けたりしている。
「にーに!」
満面の笑みを浮かべて、こちらに手を差し伸ばしてくる。はいはい、プロポが欲しいんですね、お嬢様。どうぞご自由にお使いください。操作方法はやっていればわかるだろう。
飛空船が旋回する度に、ニーニャの体も旋回方向に動く。見ていて飽きないな。なんとも可愛らしいよ。でも、固定しないと危ないな。シートベルトでも作ろうか、今日のところは抱っこで固定だな。
って、エターナ、なぜお前がニーニャを抱っこしている。いつの間に帰って来たんだ。飛行船に合わせてニーニャを持ち上げて、左右に振っている。
ニーニャはキャッキャッと喜んでいるが、あれ、酔いそうじゃねぇ?
さくらが飛行船から逃げるように降りてきた。
「ミャ~」
なんとか移動しようとジタバタしているさくらを、空中でキャッチしてやる。
「移動できれば便利なんだけどなぁ」
「ミャミャ~」
さくらも、そうなのよと言わんばかりに困った顔をしていた。困った顔もなんとも可愛い。
可愛すぎてムニムニしやった。
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