87 ジーク ヴィーア!
さくらはよほどカーちゃんを気に入ったみたいだな。
体型も同じくらいだし、じゃれ合うのにも丁度良い。ペン太は縦長だから絡みずらいのだろう。弟分二号と言う所かな、良かったな、さくら。
「ひなさん達は?」
「クリスタルでデルタさんと模擬戦してます」
「まりゅりゅやプルミはやらないのか」
「しゅんさつー」
「魔法職が最初に狙われるのは定石だからな、私達を守る事ができない現状参加しても意味がないだよ。それしちゅても、さくらちゃんは可愛いでちゅねぇ」
デルタから後衛を守る事なんてできるのか? デルタも元は隊長だった人だ、人の育て方に関してはお手の物だろう。
「みんなは王都に行くんだよね」
「そのつもりだよー」
「でちゅねぇ。さくらちゃんも一緒に行きまちゅかぁ」
プルミは完全にこのキャラで固まったな。彼女の過去に何があったのだろう。詮索は良くないな。でも知りたい……。
「王都には転移魔法で行けるから、ふたりだけでも先に行く?」
「まりゅー、モフモフ王国に行きたいー」
「そうだな、モフモフ王国には私も興味がある」
モフモフ王国じゃなくてシャングリラだから。相手様の所でモフモフ王国なんて言っちゃ駄目だからな。
「レイアはどうする」
「両親が王都から戻って来てるので、話を聞きに行こうと思います」
「さくら、一緒に行ってくれる?」
「ミャー」
「さくらちゃん、帰りにお菓子でも買って来ましょうね」
「ミャッ!」
「うさ子とペン太はこっちな。カーちゃんに先輩として正しい、モフられ方を見せてやるんだぞ」
「クェッ!」
「キュ~」
「うさ子ー。元気ないぞー」
「キュー」
「じゃあ、出発しますか」
王都の転移ゲートで登録を済ませて、シャングリラに向かって歩いている。更紗さんとは連絡が取れず、パステルさんと連絡が取れたので今からお邪魔する事を告げた。
目の前にはペン太の入ったリュックを背負ったうさ子が、まりゅりゅとプルミに両手を繋いで歩いている。何とも微笑ましい光景だ。
自分はカーちゃんを抱っこしながら、男たるもの斯くあるべしと言う事を語っている。
「カーちゃんは、さくらの見てはいけない部分を覗いてしまったんだろう。しかし如何に意図してやった事でなくても、乙女の秘密を覗いた事に変わりがない。ここまではわかるな?」
「ミュウ」
「良し、ではこれからどうすれば良いかだが、ひとつ助言してやろう」
「ミュッ!」
「刺さらぬ釘に用は無し……もとい、触らぬ神に祟りなしだ。全て忘れろ! 自分は何も見てませんよーと貫き通せ。それができないなら、さくらの下僕になるしかない!
男としてそんな事を享受できるのか。いや、できない。敢えて言おう、そんな奴はカスであると! 我等選ばれた優良種たる男子が、今こそ明日の未来に向かって立たねばなぬ時であると! 聞こええているかリュックに入ったペンギンのよう者、ペン太よ立て! 無慈悲な思いを怒りに変えて、立てよカーちゃん!
「クェ~?」
「ミュ~?」
「君達には、まだ難しかったかな……」
そんなこんなで、到着しました。
「いらっしゃい。待ってたよ」
「どーも。こちら……」
「挨拶は後々。それに、ルグージュで会ってるし、個別はあっちで」
「パラダイスー」
「あぁ……」
「そうでしょう。そうでしょう。うんうん。好きなだけモフモフ成分吸収してって! みんな来たよー!」
「ウサギちゃんだ」
「あれがラッシュラビットかぁ」
「良いか、カーちゃん。これから始まる事をちゃんと見ておくんだぞ。うさ子達の次はカーちゃんだからな」
「ミュ~?」
そう、そしておそらく今日一番のビッグウェーブが訪れる。
「ミュッ!」
ほんの一瞬である。人々はそれをこう読んだ|クレイジーウェーブ《》モフラーのなみ》と……。
「そっちの子は、新入りさん? ルークの子達はみんな変わってるよね」
「カーバンクルの亜種でカーちゃん。あっちのまりゅりゅの子ですよ」
「そーなんだ。抱かしてもらって良い?」
「どうぞ」
「綺麗なブルーだねぇ。こんにちはカーちゃん。パステルだよー」
そう言いながら、
頑張れよ、貴君が無事な姿で帰還する事を切に願う。
改めて見ると、男性プレイヤーも多くいる。その男性プレイヤー達と情報交換している時に足元に寄ってきた、ピッグミー 幼生体のブヒブヒ言ってる鼻を突っついていたら大人のピッグミーに吹き飛ばされ、周りから大笑いされた事はレイア達には内緒である。
もう無理。あの中に長時間いるだけの精神力が、俺には無い。俺もまだまだ、修行が足りないな。先に帰る、後はよろしくやってくれ。
皆より一足先に降魔神殿に戻ると、メイドドール達が慌ただしい。
何があったのか近くに居たメイドドールに話を聞くと、俺とさくらを探していたそうだ。すぐにオメガに会うよう言われたのでクリスタルの部屋に向かった。
「お帰りをお待ちしておりました。非常事態です」
オメガが非常事態って……それマジでやばくね。何ガ起きた?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます