20 真夜中の墓地にて知らぬ間に蹂躙
うさ子は人気者。店の客層が来た時とガラッと変っている。客は九割女性になっている。男連中の肩身が狭い。
帰りたい……【優雅高妙】の皆さんは既に帰られた。帰ろうとすると店員さんがエールとつまみを置いていく。もうお腹がタプタプで入らない。
ステータスを見ると異常状態【酔い】となっている。ちょっと気持も悪い。
目の前のクマが勝手にエールのジョッキを持っていきぐびっとあおった後、つまみも食っている。マクモンさんだな……何してんの?
また店を抜け出して呑んでるのか? クマサケを食う サケサケを食う サケクマを食う、熊だけにクックッ……。人酒を飲む 酒酒を飲む 酒人を飲むが正しいのだったかな? まあ、クマで良いや。ばたん、キュウー。
起こされた時は閉店の時間。お代はタダだった。
気持ちが悪いので試しにポーションを飲んでみたら、幾分か気分が良くなった。
気分が良くなったのでアンデット狩りに行く事にした。お化けや幽霊なんて怖くない。なんてったって霊感エロ……もとい、ゼロだからな。
門に着くと衛兵さんが居た。こんな時間まで、ご苦労さんです!
「こんな時間に外に出るのか? うっ、酒臭せ!」
「らいじょぶですよ~♪ よっぱらってなーんかいないれすよ~。なぁうさこ~」
ビシッと直立して敬礼してみせる。なんか俺、かっこ良くねぇ?
「酔っ払いは皆そう言うんだよ……」
「なんですとー! おれはよってらんかない! ぞぉー。うさこぉいつのまにぶんしんらんておぼえらの?」
「大人しく帰りなさい」
「いく! といったらいくでーあります。はひ、きょかきょれす」
「ハァ……死ぬんじゃないぞ」
「のー! ぷろぐらむぅ? もんらいナッ……そんぐぅ?」
「まあ、頑張れ……」
門を出て聞いた通り壁伝いに南に歩いて行く。途中何度か汚れた重装備の方達とすれ違ったので、目礼で挨拶するが誰だたのだろう?
街の丁度真南にそれはあった。日本風ではなく西洋風のお墓だな。良く見ればスケルトンやゾンビにレイスがいたる所に居る。大漁だー。
一応、怪しい人装備にちぇーんじ。
あれ? うさこぉーどこいったー。まーたーひーとーりー?
墓場に生えてる木の下で丸くなって震えてる。寒いのかな? ストレージから初期装備の服を出して上に掛けてあげたよ。そこで休んでなさい。俺って優しいだろ? 惚れちゃ駄目だぜ。
さぁ狩りの始まりだ。
敵はより取り見取り状態、なぜか近寄ってもアクティブ状態にならない。なぜ? まあ、良いや。気にしない、気にしない。
目の前の〈スケルトン ♂ Lv19〉にライトバレット! HPの八割が消失。すぐさまライトバレット! スケルトンは光と共に消える。
おおぉー! 意思の上でも残像……石の上には怨念? 石の上にも三年だっけー? やっと俺の時代がキター!
そこからは酔っ払いの阿呆踊り……もとい蹂躙だった。
ライトバレットなら二発、浄化なら一発で消滅。
途中からライトエリアという呪文が増えていたので使うと、まるでGホイホイの如くライトエリアの範囲に寄ってきて自らダメージを喰らっている。
『テッテテー! 条件をクリアしましたのでJob【祓魔師】を取得しました』
何か聞こえた? まぁどうでも良いか……それより、いつまで続ければ良いのかな? スキルレベルが上がったのか、ライトバレット一発で倒せるようになってきた。俺tueee!
半ば意識が朦朧としながらも、ながら作業……もとい蹂躙を続ける。
気付くと目の前に〈ガシャドクロ Boss Lv38〉って言うデカイのが居る。
「でかけりゃ良いってもんじゃにゃい。レベルとステータスの違いが、戦力の決定的差でにゃいということを……にゃんだっけ?」
まあ良い、ライトエリアを展開する。ザコが勝手に消滅していく。中には鎧を着た奴やローブを着た奴がいて、すぐには倒れない事もあるが今の自分にとっては貧弱! 貧弱ゥ!
流石にMPの回復が追いつかないので、ストレージからMPポーションを出してがぶ飲みする。うぇ~ぎぼちわりぃ。
敵の攻撃は、ちょっと足元がふらついているが難なく躱している。なんか体も頭も軽い気がする。バカって事じゃないからなー。
「見える、見えるにゃ!」
なーんも見えてないのですけどね。敵もなぜか自分がさっきまでいた場所に攻撃や魔法を放っている。
「当たらなければどうということはにゃい」
一度は言ってみたいセリフが言えたー!
でも、ボスってわりに何気に弱くねぇ。
そして、大した山場も無く
『【英霊の眠る墓所】のボスが討伐されました。条件をクリアしましたので迷宮【死者の都】が解放されました』
もうーどーでっも良いっす。眠い、とにかく眠いんだ……。
『心強き者よ、ありがとう。君のお陰で多くの彷徨いし魂が救われた。そこで君に頼みがある……』
「あにょすいません、頼みでもお願いでもなんでも聞くにゃから。紙かログにのこしておいてくにゃさい……にぇむいんです」
誰かは知らんがTPOを考えてくれたまえ。
『……』
「にゃ! そうにゅうことで」
寝させてくれー。
何とかうさ子のいる場所に辿り着き、睡魔に身を委ねる。
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