鉄壁の薔薇駆動 リネーゼ

めそ

彼の者は未だ目覚めることを知らず

 美しきとは強きこと……。

 その言葉はシャーロット・ヴィートリヒの胸を激しく掻き乱していた。


「僕は……僕は強くあるために生きてきた! 君に認められるために、そのためだけにただ生きていた! なのに君は……!」


 共に戦うに値しない、と。

 リネーゼは無機質な言葉でシャーロットを拒絶した。

 美しくない、と。

 星のように煌めく銀髪を持つシャーロットを拒絶した。


「どうして……! それなら、僕は、ヴィートリヒ家は、なんのために……!」


 床に崩れ落ちるシャーロットの涙が、リネーゼの足下を冷たく濡らす。

 錆ついた赤色のリネーゼは足元で涙を流すにちらりとも視線を向けることなく、ただなにかを待つようにまぶたを閉じている。

 

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