seitsemän
後方から声がした。
「気分はどう?」
私は振り返った。視界は
しかし、彼女がそこにいる事なんてもう分かりきっていた。
彼女は何も言わずただそこに立っていて、私ではなく二つの光量の強い月を見て、顔を
その顔は大人びた彼女の顔立ちからはいくらかかけ離れている様に思える程、幼稚な仕草に思えた。
声だって若い女性というよりは少女のようなかわいらしい
私は彼女の質問には答えず――今の状況を見たら答えなんてすぐに分かるだろう――に逆に質問を投げた。
あなた、何歳なの。と言葉に出そうとするが、押し寄せる血の影響でうまく声が出ない。しかし彼女にはそれが伝わる。
「年齢なんてないわ。いつになっても存在していなくて、ただそこにあるだけなのだから」
「事実をうまく飲み込めないからって、禅問答とか言わないでくれる?」
彼女はそう言うと車へ、するすると足音を立てず、しかしふらふらと左右に揺れる独特な歩調で近付いていく。
その動きはさきほど見た、集落を
彼女は車の横に辿り着くと、ライトスイッチに手を伸ばしそれを
空に浮かぶ月は出番が回ってきたとでも言いたげに、雲のノイズを取っ払うと、私たち二人の存在の
この舞台の演者は二人。二人は対立も強調もしない。ただ二人はそこにいるだけ。
あら、ちょうど眩しいと思っていたのよ。と私はもう声に出す事は諦めて心の中で、ただ、思う。
「今更隠したって無駄。自分の内に秘めたものに気付くチャンスは何度かあったはずよ。こんなに大きくなる前に」
気付くチャンス。
きっとたゑさんの流麗な動きを見た時に感じた、この世界に亀裂が入った様な、
しかし彼女は何度かあったはずだとそう言った。他に何かあっただろうかと考えていると彼女は
「見たでしょ? その目で。炎を」
炎。
ああ、あれも同じだったのか。と私は妙に落ち着いた気持ちでその事実を
自らの身体の破壊すらも欲するほどに私の心は
それどころか、こんな時でさえ私は興奮を抑え切れなった。
「生粋の変態ね」
私は死んでいく。そう思うと胸が高鳴った。
自らの死という破壊の形は一度しか味わえない、それは
身体の痛みが徐々に引いていき、意識はヘリウムガスを入れた風船の様にぷかりぷかりと浮かび上がり、月に向かって飛んでいきそうになっていた。その時は近い。
彼女の表情を見ると、シニカルという葉は完全に散り、樹の幹の様に太くどっしりと構えていて多少の風雨では揺らがない程の
彼女は私から興味が無くなったのか、くるりと向きを変えて車の後方へと歩いていく。
私はその姿をしばらく眺めてから、魂というものが、私の中を通り抜けて地面に向け降下していこうとするのを感じる。
意識は上がり、魂は下るのか。とぼんやり考えていると、突然私に恐怖が舞い降りた。
死が怖い。
その時
「今の生活に満足している?」
魂が私の身体からぷつん。
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