ネコの目
カゲトモ
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「でさー、はなちゃん的にはどう思う?」
「どうって」
「ほら、第三者的な感じで、どんな感じ?」
「どんな感じ、ねぇ」
合コン後の女子会よろしく、ミケが前のめりになって言った。
「あの子、イツキ君よ」
昨日の午後、もう一度ミケとムギローブへ出向いた。目的はミケの想い人、イツキ君だ。
「いつ見ても可愛いわよね」
と言っても、イツキ君は男の子じゃないんだけど。男性でも、男の娘でもない。女の子だ。
「確かに、可愛い顔をしてるけど」
「でしょぉ? でもはなちゃんはあげないんだから」
「いや、ミケんじゃないだろ」
「あたしが先に見つけたのよ」
黒いポロシャツ、黒いパンツに前掛けをした彼女は確かに可愛らしかった。短い黒髪も艶やかで、笑顔も素敵だし。だが、それが女の子と見えるか、ボーイッシュな女の子と見えるか、ガーリッシュな男の子と見えるか。確かにそれは個人の主観によるかもしれない。
そうだとしても! 彼女はれっきとした女の子だろう。胸は少し小さいかもしれないけど、身体のシルエットとか、声とか、仕草とか。俺にはイツキ君が女の子に見える。
「あんなに可愛らしい男の子って滅多にいないわ」
だがミケには男の子に見えるらしい。
「どの辺が可愛らしい男の子なんだ?」
あえて“男の子”を強調して訊いてみる。
「何よ今更。何度も可愛らしさについては話したでしょ」
「あー、うん。で、どこが決め手だったわけ」
「そうねぇ」
ミケはカウンターに並ぶスツールに座り、ぐるんと回った。
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