「うんにゃ」はどこの言葉か?



















精選版日本語大辞典によると、「うんにゃ」は、相手のことばを打ち消す時のことば。いいえ。多く同等以下の相手に対して用いる。むんにゃとも。

用例① 「ムンニャヨ、いっそをっかけるはな」(洒落本・寸南破良意すなはらい 1775)

用例② 「ウンニャ、ほんのことさ」(滑稽本・浮世風呂 1809-13)


また、インターネットで調べたところ、九州地方の方言で「いいえ」を意味するともあった。


夏目漱石「吾輩は猫である」で、しゃが迷亭の問いかけに「うんにゃ」と答える場面がある。

漱石が熊本県の第五高等学校講師になるのが1896年、「吾輩は猫である」を書いたのが1905年なので、最初は熊本の方言を出したのかと思った。

しかしながら、「寸南破良意」「浮世風呂」ともに江戸の風俗を扱った作品なので、「うんにゃ」は江戸でも使われていたと考えるのが妥当である。

そして、漱石が東京出身であったことを考えると、江戸の言葉の流れとして、苦沙弥は「うんにゃ」と発したのだろう。


「うんにゃ」はたしかに九州地方の方言だが、九州だけで使われていたわけではないのでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る