第3話魔法の才能
昔、こんなことを聞いたことがある。
「この世界には魔法を使える者と使えない者がいる」と。
帝国には魔道具や魔導書など、魔法に関わる物がたくさん存在する。
アルは魔法に興味があり使えるようになりたいと目を輝かせながら主張すると、リームはカバンにあった一冊の本を差し出した。
魔導書だ。
この魔導書には魔法の使い方は勿論、初級者向け魔法から上級者向け魔法など100種類以上もの魔法発動に関する情報が記載されていた。
そこには魔力を持っているか確かめる為の基礎呪文も書かれていた。
アルは早速試してみた。
「魔力よ、我に力を!」
手のひらを地面に向け五感を研ぎ澄まし言葉を放った。
.......
何も起きない。と思われた次の瞬間...
「ドボワッ」
手から5色の空気砲のようなものが飛び出る。
風の圧力によりアルの体は高く宙に舞う。
アルは魔法を発動する為には時間が掛かるものの人一倍強い魔力が備わっていた。
アルは嬉しくて魔導書を読みあさり、初心者向けから中級者向けの魔法全てを発動させた。
その結果約60種類程の魔法を放つことが出来た。
だがもう魔力切れ、体が動かなくなっていた。
それからはリームの発動させた魔法により現れた馬に跨り帝国まで風のような速さで駆け抜けた。
帝国へ着くとアルは先程の魔力切れが嘘かと思う程にはしゃいでいた。
町の中にある店舗を1軒ずつじっくり見て周り、途中で腹ごしらえを済ませた。
お昼ご飯は帝国名物「カエルの味噌焼き 」。
最初は少し拒絶していたが、ひと口食べると美味でありカエルのカリッとした食感と味噌の風味が合い絶妙な味をかもし出しているらしい。
しばらく町を満喫すると帝国本邸、国漢の住む屋敷へ向かった。
この屋敷は突如現れた騎士達に対抗すべく結成された「永久樹木防衛軍 」というギルド本部として使われている。
防衛軍第3班隊長として活躍するリームが話を通し、アルは第3班の副隊長に任命されると早々に任務を課せられた。
内容は、1週間掛けて後永久樹木根元へ向かいそこを拠点とする騎士集団を撃つという初にしては重い指令だ。
アルは夕食を済ませると帝国へ着いてからドタバタして体が重いあまりベットで横になっていた。
そこへリームがやって来て軽く私語を交わした。
「ねえリーム、もう1回魔導書見せてくれない? 」
そう言うとアルは魔導書の最後のページにある一つだけ言語の違う魔法をまじまじと見つめた。
「 Revival Incantation ??」
よく分からない魔法を見ているとリームは顔が変わるとすぐさま魔導書を片付け足早に部屋を出ていった。
そして次の日、帝国はとても賑わっていた。
そう、昨日伝えられた指令が今日決行されるのだ。
アルは急いで身支度をして外へ出ると沢山の町人に見送られながら馬車の中にある長椅子に座った。
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