三十二、戦後
闇の王は封印次元から上半身を突き出したまま、中央の修復工事を眺めている。光の女王はその側に浮かんでいる。
「アイルーミヤ、大丈夫だろうか」
「ご心配なのですか」
「もう、余の力は届かぬ」
「自然の力、と言うのも相当強い力ですよ」
「そうか?」
「それに、あなたの分身自身もとても強い」
「強くなりすぎだ。多分、アイルーミヤだけじゃない。あんな事をする奴はこれからどんどん増えるだろう」
「よろしいではないですか。そうなれば統治などという面倒な仕事をやめられます。二人で隠居しましょう」
光の女王は、自分を見つめる闇の王の目を受け止めた。
「そうだな。その時こそ『変化』も『安定』も、その概念を象徴する存在としての我らも不要になる。そして、彼らの時代になる」
「いずれは『自然』もそうなります。象徴は不要になっていくばかりでしょう」
「生きとし生けるもの皆自律する世界か。魔法の無い世界など余には想像も出来ぬ」
「私もです」
「それが生命にとって良い時代であれば、な」
「そう願いましょう」
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