プロローグ:とある少女の繰り返される出来事(ねがい)

 

 空と大地が赤く染まる。

 火は炎となり、その場にいた者たちを襲う。


「早くっ、早くっ、私たちを外へ――」


 逃げ惑う者。


「早く、こちらへ――」


 避難誘導する者。


「なんでっ……」


 そして、涙を流す者。


「なんでっ、またっ……!」


 それは、慟哭。


 同じことを何度繰り返した?

 今回はどこを間違えた?

 何故、同じ結果になる?


 たとえ聞いても、尋ねても、答えてもらえるわけがない。彼らは真実を知らないのだから。

 仮に話したとしても、こんなこと信じてもらえるわけがない。


「ダメだ」


 ふらりと立ち上がる。


やり直さないと・・・・・・・リセットしないと・・・・・・・・


 手の甲にある時計のような印に目を向け、時計の針を回すかのように、針が回る部分であろう中心と数字の記された間をなぞり――そして、告げる。


「時を――」


 空間を――

 全てを――


「“リセット”!」


 無に返す。


 だから、次は、次こそは――


「私の願う結末を、見せてくれないか?」


 それが、私の願いだから。


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