第1話 変わらぬ日常

―あーあ・・・。


ふと俺は教室の窓の外を眺める。

気がつけば空は夕焼け空だ。

時計に目をやると、あと数分で今日最後の予鈴が鳴る時刻を指していた。


退屈だった今日が終わる。

あとは帰って宿題を片付け、寝て、起きて、また学校・・・。

終わることのない、平凡な日々。

「平和が一番幸せ」と誰かが言ったけれど、俺は退屈で、

何か面白いことはないかと思いながら

毎日を流れるまま、流されるままダラダラと送っていた。

あーあ、今日は帰ったら何をしようか。

本もゲームも家にあるのは何度も制覇済み。

新作もチェックしてはいるが、どこか味気ないのばかり。

どうすっかな・・・なんて考えていると、

後ろの席からヒソヒソ声で呼びかけられた。


「ねぇねぇ、ちゃんと授業、聞いてたほうがいいよ?」

声をかけてきたのは椎名しいな 若葉わかば。俺の幼馴染おさななじみだ。

「平気平気。もうすぐ予鈴が鳴って下校時間さ。」

「でもさ、前・・・。」若葉わかばは前を指差す。

「なんだよ・・・」指差す方向を見ると、先生がこちらを見ていた。

「・・・さぁて真久まさひさ君。予鈴前に答えて貰おうかな」


「全く、お前のせいで大変な目にあったじゃないか」

授業中にお喋りとはいい度胸だ、と先生に追加で出された課題をやりながら、

それが終わるのを待っている若葉わかばに文句を言った。

「えーっ、私のせいなの?」と不満げな表情の若葉わかば

「大体お前が声をかけなければだな・・・」

「あ、そこ間違ってるよ。」

「わかってるっつーの!」

そんなたわいもないやり取りをしていると、

若葉わかばが突然ある話題を持ち出してきた。



「ねぇ真久まーくん、『ビス』って知ってる?」

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