Xを求めよ。 姉召喚スキル+弟愛スキル+家族=X

酔玉 火種

第1話 ぬくもり

 私のお部屋。

 白い壁にはハートのワッペンを複数はり、カーテンはピンク。ベットのシーツもピンク、掛け布団もピンク。

 今、私は弟愛ていあいしている4歳のひろをベットに寝かしつけている。

 12も歳の離れた弟が可愛くて仕方がない。


 「ちよねー。おちっこ。」

 「はいはい。お手てつないでいこーね。」


 トイレでしーしーさせていると、トイレに魔方陣が現れて、忽然こつぜんと弟が消えた。


 「なに?え?ひろ。ひろ!お、おかーさん!ひろが!ひろが!トイレで消えちゃった!」


 私の足元にも、ひろと同じ魔方陣が現れて、瞬く間に家の廊下が不気味な夜の森に変わっている。

 横から、抱きつかれる。


 【肉体条項】発動。


 「ちよねー!ちよねー!」

 「ひろ!大丈夫?!」 

 「ちよねー!ちよねー!」


 ひろを抱きしめながら、空を見上げる。今までに見たこともないほど多くの輝く星々。肉眼でクレーターまで見える月らしき2つの星。

 辺りを見回す。写真でしか見たことのない屋久島のような深い森が広がっている。

 遠くから、獣の遠吠えが聞こえる。


 落ち着いて考える。弟の頭をなでなでする。

 (森?魔方陣?まさか、転移?)


 ≪ステータスオープン≫

---------------

 00:03:21

 名前:花渕 千代(ちよ)

 種族:人♀

 歳:16

 LV:1

 HP:9/9

 MP:10/10


 魔法:-

 スキル:

  【ユニーク】

   弟愛ていあい

---------------


 (やっぱり!ひ、ひろは?)


 弟の頭をなでながら、「ひろ。落ち着いた?ステータスオープンって唱えて。何か見えたらねーねに教えてくれるかな?」


 ≪ステータスオープン≫


 弟と話しているうちに弟のスキルが分かった。

 姉召喚あねしょうかん。姉。つまり私を召喚するスキルらしい。

 「えむぴー?1で、1分、しょーかん?だって。」


 (1分?)

 ≪ステータスオープン≫

---------------

 00:00:04

 名前:花渕 千代(ちよ)

 種族:人♀

 歳:16

 LV:1

 HP:9/9

 MP:10/10


 魔法:-

 スキル:

  【ユニーク】

   弟愛ていあい

---------------

 (え?残り?4秒、3秒、)


 【特殊条項】≪線香花火せんこうはなび≫発動。


 とっさに弟を抱きしめるが、ぬくもりだけ残し、一人家の廊下に愕然がくぜんと膝をつく。

 「ひろ…ぉ」うぅぅ…

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