時に優しさというものが分からなくなる

 時に優しさというものが分からなくなる。

 優しさとはどういうものなのか。


 上品だから。美しいから。お淑やかだから。刺激が少ないから。

 辞書を引いてもそんなことしか出てこない。

 知りたいことはそういう事ではなくて、僕は気持ちの問題について知りたい。


 気持ちを知りたいなら、こうすればいい、ああすればいいと助言をしてくれる。しかし、どれも成果を成さなかった。


「嘘をつくことも、それもまた優しさなんじゃないかな」と言ってくれる人がいた。

 それはそれでまた、気持ちの問題とは言っても、話がずれてしまう。

 でも、元を辿れば優しさを知りたかったわけで、優しさの気持ちを知りたい気持ちを捨ててしまえば、結論にたどりつく。彼が言ってくれたものに。


 けれど、優しい嘘ほど怖い物はない。あの言葉も優しい嘘なのではないかと下手に勘ぐってしまう。


 やはり、優しさなんて考えることではなかったのかもしれない。

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