気分転換集

時雨色

僕は彼女に恋をした

 僕は彼女に恋をした。

 恋をしたとはいっても、自分の本心がそうとは限らない。

 自分で理解をしようとしないから。

 

 彼女が笑えば安心するし、彼女が泣けば不安になる。

 彼女と喋れば楽しいけれど、自分以外の誰かと喋っていれば、胸が痛くなる。

 ストーカーだろうが、嫉妬だろうが、なんと言おうが構わない。


 けれど、彼女に傷をつけるなら、誰だって許さないだろう。

 自分もその中の一部だ。


 そう、自分もその中の一部なら、彼女にとってはあの中の一部なのだ。


 僕は悔しい。悔しくて苦しい。

 こうして一歩も動けずに立ち止まっていたら、彼女はどんどん離れていく。


 仕方ないと呟けば、それは自分の悪い癖。


 「わずかな勇気が本当の魔法」


 なにかの漫画で読んだような気がした。

 

 僕はその言葉を思い出して確信した。


 確かな一歩を踏み出して、彼女に追いつこうと。

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