Knowledge&DNAmagic

創士狼

第1話 プロローグ

「今日の研究はここまでかなぁ?」


やっと解放されたと僕は研究所から与えられている自室ラボに凝る右肩を揉みながら向かう。


「チュー」「ぴぃぴぃ」「にゃー」「わんっわんっ」と部屋ラボの至るところからご主人を迎えてくれる。


「ただいまぁ、愛しの実験体モルモットけど、先にお腹が空いただろうから晩餐えさにしよう」


彼が御飯えさをあげてる動物は、顔が二つ有ったり足が三本有ったりしてる…そうここに居るのは突然変異した変異動物達。それは何故か?


彼は遺伝子工学者で主に改変を研究しおり、課題テーマとなっているのがである。

その為に変異動物から少しづつ血を貰い遺伝子の解読をしている。


そしてほぼ解読し終わっており残す所は実験のみの段階…本来であれば実験用に実験動物モルモットを用意するのだが、彼の場合は違う。


彼は結果を世に出す気は更々無い。彼にとって名声や名誉などどうでもいい事、其よりも結果を知り知識を手に入れる事の方が遥かにいい。


聞こえが悪いが只の自己満足であり彼の美学に添った行動でもある。

故に体内変化の過程を知る為に自らを実験体モルモットにし今日実験を行うのだ。


彼は全てに御飯えさを与え終わると注射器を手に取った。


「成功しようがぁ失敗しようがぁこれで一つの結果がわかる…!」


プスッ…


ご褒美を貰った子供の様な顔をしながら彼は何の躊躇も無く注射針を首筋に差し液体を流し込む…


「ふむ…効果が現れるまで一時間位かなぁあぁ!!?ぐぅ…い、くら…な…んで…も…あがぁぁ…!」


鼓動が速くなり身体中の血管が脈打つのが解る…案の定彼の皮膚から血管の細部まで浮き上がっていた。


「…はぁ、はぁ…ぐっ……こ…れ…」


痛みの中、彼は一つの結論に達していた。

それ結論とは…実験は成功した、しかし予想外の改変速度と体が新たに細胞を創る過程がこれ程までに激痛を伴う事。それと通常の肉体では改変に耐える事が不可能…そこから導き出される答え…即ち死である事に。


(痛みの感覚、いや全身の感覚が無くなってきたなぁ…まぁ悔いが無いとは言えないけど、こういう実験結果も悪くないなぁ?…もし叶うなら来世も実験出来る環境があります…よう…に…)


彼は変異動物に見守られながら独り静かに息を引き取った…

後に、彼の死は表では【謎の怪死体事件】として裏では【狂科学者マッドサイエンティストの気狂い】としてメディアに大いに取り上げられそして忘れ去られていった…以外には…


ーーーーーーー


「おぎゃー」


ここは【エスメラルダ大陸】聖母エスメラルダ神が創ったとされる場所。

その大陸のある家で男の子が産声を上げた…後にと言われる男の誕生である。


ーーーーーーーー


「アレンさん産まれましたよ元気な男の子です」


助産婦の手に小さな男の子が抱き抱えられていた。


「モニカよくやった!元気な男の子が産まれたぞ!」


アレンが産まれたばかりの赤子を助産婦から受け取って抱きしめ、ベットに横たわる女性に満面の笑みを向ける。


「ア・レ・ン?乱暴に扱わないでね?」


産まれたばかりの赤子を少し荒く抱いているアレンを鋭い目で睨み付ける。本来であれば産んで直ぐは疲れ果てて睨み付ける余裕など有りもしないだろうが、モニカも流石に三人目になると多少の馴れがあり睨み付ける余裕があるようだ。


「わ、わりい…それはそうと、早速神殿で命名の儀をしてもらうか?」


命名の儀とは各地にあるエスメラルダ神殿の儀式の間にて執り行う儀式の事であり、それを行う事によりその子の持っている潜在的な能力を知ることが出来る。

それに何よりも費用が掛からず皆が平等に行う事ができる上に、潜在能力を知ることによりその子の将来を左右するかも知れないので産まれて直ぐに行うのが親の勤めに成っている。


「…そうね、あなたお願いできる?」


「おうよ!こいつも俺達の子供だ、上二人とまでいかなくともそこそこ良いと思うぜ」


「アレン?例えどんな結果で有ろうとも私達の子供には変わり無いからね?あんまり過度の期待をしちゃダメ」


アレンが期待するのは無理も無い。上二人は【雷帝】と【聖騎士】と言う伝説級の称号が携わっていたからである。


そもそもこの世界は称号により潜在能力が左右され命名の儀では稀に称号を得ることがある。

称号にはランクがあり、ブロンズ級、シルバー級、ゴールド級、プラチナ級、オリハルコン級、伝説級、神話級がある。ただのだが、余りに希少で得た者が居る事も確認されていない事からもある。


「わかってるよ、じぁサッと行って帰ってくるわ。あっ…そろそろ子供らも帰ってくる筈だから一緒に楽しみに待っててくれ」


そういってアレンは赤子を手に街の神殿へと向かっていった。


「行ってらっしぁい…アレっ何故かしら?こんなに嫌な予感がするの…何も無ければ良いのだけど…」


それは女の勘…いや母の勘とも言うべきものかも知れない第六感がこの後に告げられる事を予感させていた。


ーーーーーーー


「この度、俺アレンとモニカの三人目の子供が産まれたので早速命名の儀をしたい」


アレンは目の前の司祭に告げた。聖母エスメラルダに祈りを捧げていた司祭は後ろを振り返り声の主をみる。


「おーアレン殿おめでとう御座います。もうそろそろだと思っておりましたので準備は出来て御座います。さぁさぁお入りください」


「準備がいいな司祭様?」


「それはそうで御座います。なにせアレン殿のお子はお二方とも伝説級の称号をお持ちで御座います。次も期待するのは至極真っ当で御座います。」


「はは…そりゃそうか、それじゃあ司祭様もびっくりする称号をに儀式の間を使わせて貰うぜ。」


アレンは赤子と共に儀式の間に入室する、この時図らずともフラグを口にしていたとはアレンと司祭は知るよしも無かった。


儀式の間は二マトル(メートル)四方の小部屋であり四隅にフードを被った女性の像が奉ってあり、入って目の前の壁には赤子を抱いた聖母エスメラルダ像が奉ってある。


アレンは聖母エスメラルダ像の前で膝をつき両手で赤子を献上するかの様に差し出す。


「聖母エスメラルダ神よ、此度この世に新たな生を授かりました。父アレン、母モニカ、新たなる生、名はマギ、願わくば大いなる祝福を!」


アレンが文言を言い終えると同時に儀式の間が光に包まれた。光が収束すると、聖母エスメラルダ像の前に一枚の紙が置いてあった。


アレンは待ってくれている司祭と見るために紙を手に儀式の間を出ていった。


「おーアレン殿、してどうでしたかな?」


「まだ見てないぜ?折角なんで一緒に見ようと思ってな」


アレンは言わずとも準備までして貰った司祭に、感謝のつもりで一緒に見ようと思っていた。


「まことで御座いますか、お心遣い感謝致します。では、失礼ながら私めも拝見させていただきます」


テーブルに置かれた紙を二人が覗きこむ…が紙に記載されている内容にアレンと司祭は大きく目を見開いた。


「「こ、これは…」」


ある意味フラグ通りの結果になった瞬間である。


名  マギ

種族 人 (混血種)


潜在能力

武才 シルバー級

魔才 皆無

知才 神話級

称号 

遺伝子工学 アンノウン級

血統能力 血の知識

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