第16話かわいい子には灸をすえ、憎い子には砂糖をやれ

 日本の「かわいい子には旅をさせよ」にあたることわざは多い。

 多くは「子供を甘やかすな」という意味である。並べると、

「思う子に旅をさせよ」「いとしき子に旅をさせよ」「可愛い子は打って育てよ」「可愛い子には薄着をさせよ」「可愛い子に夏の火を焚かせよ」


 いまもそうかというと、現在の価値観では逆の(つまり虐待)表現になるので批判する本もある。

 例はまだある。

「甘やかし子を捨てる」「親の甘茶が毒になる」「親父と南蛮は辛いほどよい」


「親の奥歯で噛む子は他人が前歯で噛む」=「親が子をかわいがりすぎて必要な時に叱らないと、他人に叱られるような子になってしまう」

 だから「打たれても親の杖」というし、欧米では子供を鞭打つ習慣が昔からあったから、この種は多い。


 Spare the rod and spoil the child.

「鞭を惜しんで子供を悪くせよ」→ 『旧約聖書』より。


 He that spareth his rod hateth his son; but he that loveth him chastenth him betimes.

「鞭を与えないものはその子を憎むのである。しかし子を愛する者はつとめてこれに罰を与える」


 他、


 Woe to the house where there is no chiding.

「親が子を叱らない家に災いあれ」


 The dearer the child, the sparper must be the rod.

「子供が可愛いければ可愛いほど、鞭が鋭くなくてはならぬ」


 Let alone makes many a lown (lurdan).

「放任主義は多くの怠け者をつくる」


 Mothers' darlings make but milksop heroes.

「母の甘やかしっ子は腰抜けの英雄にしかならない」


 A light-heeled mother makes a heavy-heeled daughter.

「足まめな母親からは足の重い娘ができる」



 今の幼稚園では「過保護はよいこと」と念頭に置いてお子さんを指導しているそうです。鞭なんてつかいません。

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