第2部 第15話「暗闇の襲撃者 ①」
1
「加賀谷くん! 加賀谷くん! ……やっぱりだめ。揺すっても、耳に直接大声を出しても起きないわ……。」
キングスライムとの戦闘を終えたわけなんだけど、また第2の問題が。
「脈もないし、呼吸もない。……もう、死んじゃってるよ。」
「そんな……。」
加賀谷くんが死んでしまったという事実を、私は受け止めることが出来ず、ただその場に力なく座っていた。
そんな私に、結衣奈ちゃんが何かを思い付いたようで、顔を明るくし、声を昂らせて言った。
「あれ使えば!? リロード!」
ああ。そういえばミールさんから貰った
私はそう思い、右の胸ポケットからそれを取り出そうと手を突っ込む。
……否。
「……あれ?」
「どうしたの?」
「ない。お腹のポケットにも……どっちにもない。」
ない! ない! ない! ない!
「何がないの?」
「ごめんなさい。
「え!?」
「でも、
「まあいいわ。探しましょう。」
そんな会話をし、探し始めた。
しかしこの会話……、いや、このクエスト自体が原因なのかもしれないけど、それがかえって新たな問題を増やしてしまうのだった。
2
一階。
「……結局、三階でも二階でも見つからなかったわね。加賀谷くんには……、申し、訳……、ないけど、もう……」
「待って? あそこになにか……。」
私は後ろで話す結衣奈ちゃんの言葉を遮ってそう言い、目を凝らす。
そしてそれにそーっと近付き、正体を確かめる。
その正体は、紅く光るキングスライム……、
「見付けたわ!」
などではなく、紛れもない、レッドダイヤモンドストーンだった。
……三階に戻り、それを使いながら加賀谷くんに手をかざす。
「
その瞬間、加賀谷くんは白く淡い光に包まれた。
********
「……っあ~っ! 生き返った!」
あ、これ真面目な意味でな。
……ま、とりあえず生き返った僕は皆と一緒に下へと行く。
そして出入口から外へ出ると……
「暗いな。」
辺りはほぼ真っ暗。
明かりは城の出入口についている、松明のみであり、まさに“一寸先は闇”って感じだ。
僕は松明を手に取り、辺りを照らす。
そして、歩き出したその時――……
――僕たちの足元で、黒い何かがうごめいた。
一瞬影かとも思ったが、違った。
僕たちの動きと異なる動きをしているのだ。
そして、その黒い何かが、少しずつ、人の形へと変化していって……。
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