第2部 第14話⑤「キングスライムキャッスル第三階層 その①」
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「ここが三階……。違うな。屋上だな。」
三階……もとい、屋上に着く。
パッと見一階とはあまり変わらないように見えるが、今回はもう上がないので天井がない。
あと階段も。
日は落ち真っ暗。
吹きさらしになっていたのか、一階や二階で点いていたランプは消え、当然部屋は真っ暗な状態である。
……こんな状況での戦い。
暗い色の奴が出てこないと良いのだが、大体こんな時っていえば……
「ベチャッ。」と音が鳴りその方向を向く。
するとそこには、
「やっぱり、出るんだよな。」
薄い紫色の、キングスライムがいた。
「さあて、手っ取り早く片付けて、メシにしようぜ!」
等と決め台詞を吐いたあと、僕は、
「……今度はどんな特性を持っているのかな?」
と呟いた。
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様子を伺い、攻撃してくるのを待ち構える。
もちろん、このキングスライムの特性を確認するためである。
数秒経ち、そのキングスライムは、先ほどのキングスライムと同じように、大きく息を吸い上げ、攻撃の準備をし始める。
そして。
先ほど……、一階と二階のキングスライムと同じように、勢い良くそれを吐き出した。
速度は今までのと同じである。
しかし、辺りは真っ暗。
どこ辺りに飛んでいるのか、見当も付かない。
その為、避けるに避けれないのだ。
とりあえず、マリオで下ボタンを押しながら、Bボタンを押した時のようにしゃがみながらジャンプをする。
しかし――。
「うわっ!」
その液体は、僕の体に叩きつけられた。
「加賀谷くん! 大丈夫!?」
「ゲホッ! ゲホッ!」
……? 特に痛みはない。
「だ、大丈夫……、みたいです……?」
なんだ? この感じは……?
「そう。なら良かったわ。このキングスライムはあまり害は無いみたいね。」
希里花さんはそう言った。
……しかし、ここで異常に気づかなかったのは、言うまでもない。
それは
「みんな!」
皮膚から、
「とりあえず、一回目と同じような戦法で戦おう!」
僅か3%の機能の皮膚呼吸で、
「うん!」
酸素と共に吸収され、
「分かりました!」
肺を通り、
「わ、分かったよ! グフフフッ! グフフフフッ!」
血管を通り、
「じゃあ全員、攻……」
……心臓へと、到着した。
「うっ……? ……っが!? が、ガハッ!」
吐血。
「か、加賀谷くん!?」
「う、うああ!」
嘔吐。
「加賀谷くん!!」
「ゲホッ! ガハッ! うっ!? 」
……呼吸、停止。
「……っ! このやろーっ!」
って、結衣奈。戦いとか言ってる場合じゃないから。
……まあ、そう。
簡単に言うと、そのキングスライムの特性、それは……
“毒”だったんだ。
……希里花さん。
討没、後は頼むね。
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