第2部 第12話「かくれんぼ (vs吸血鬼)」

1


「……ところで、あいつが部屋から出て何分位経った?」

僕は、走りながら希里花さんにそう聞いた。

「うーん。1分位かしら。」

希里かさんはそう答えた。

「なるほど。それならまだ宿から出てはいないはずだ。多分どっかに隠れてるんじゃないか?」

僕たちが今泊まっている部屋は、四階にある。

しかも部屋は広く、部屋の中にはまた部屋が、寝室4つと合わせて5つある。

ちなみに僕は窓から2番目の寝室で、光源はライトのみ。

そしてこの部屋は47号室で、いちばん階段からは遠い。

つまり、窓でも割らない限り、この短時間で外へ出ることは不可能。

そして窓を割ったとしても、グリにはまだ羽が生えていないので、飛んで出ることも不可能。

ついでに言うと、吸血鬼とバレるといけないので、外に出るのも不可能である。

どこかに隠れている可能性が高い訳だ。

だとすれば……


2


「やっぱり、ここにいた。」

宿の中庭。

たどり着いた答えはそこだった。

ちなみに、ここまでの考えはこうだ。

グリには血が付いている。→血が付いているから外に出ると疑われると考える。→血を洗おうとする。→中庭には池がある。→池で歯についた血を洗う。

ま、大体こんな感じ。

「ま、証拠隠滅ってことか。」

「は、はい……。」



「まあ、血を吸うのは……いい。吸血鬼だしな。そりゃ吸いたくもなるだろう。でも、貧血レベルまで吸うのは、……さすがに駄目だ。」

「じゃあ、どのくらいなら吸ってもいいんですか?」

グリはそう聞いてきた。

「どのくらい、か。んー。そうだな。10mlとか、まあそんな所で。」

僕はそう答えた。

「わ、分かりました。」

よし。これで今回の件は終了か。

「ところで、“ミリリットル”って、何ですか?

……そういや、まだご飯、食べて……なかったな。


3


ご飯も食べたし、元気百倍!

「さーてと! そろそろ出るか!」

僕は元気よく、そう言った。

「グフフフフ……魔物退治ィ!♪」

「うん!」

「そーだね!」

そう、結衣奈とイリシア、それと……、グリネアが言う。

「そうね。もう少し、お金……じゃなくって、クロム貯めないと、あれも出来ないしね!」

続いて、希里花さんがそう言う。

「え?」

「なに? あれって?」

「私を、……魔王の呪いから、解く方法よ!」

……そうそう。あれを話すの忘れてた。

あの話、しておかなくっちゃな。

僕たちが今、冒険している、その目的。


……そう、あれは、2ヶ月前――。


____________________________________________________________

はーい! 今回はここまで!

今日は、2話続けての投稿でした!(まだあるかも? 僕の気分次第です!)

まあ、理由は、更新が遅くなっていることへのお詫び……もあるんですが、もうすぐ僕も3年生。

なるべく長く、早く完結させたいなー。

とも思っておりまして。

未発表の作品があって、そっちも出したいなー。

とも考えているので、急ピッチで書き上げたいと思います。

それでは、また。

あ、それともうひとつ言いたいことあるんですよ! 14話……(詳細は13話にて発表)

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