プロローグ「妹と二組の出会い」(14話)
1
「え……?」
「?」
「お前の妹もこいつに……?」
「……お前の妹もって、まさか、お前も。」
「「妹を襲われているのか!?」」
「……ずっと、俺たちだけだって思ってた。まさか、仲間がいたなんて。」
「同意見だよ。」
「ところで、この件に関して考えてる事は一緒か?」
「ああ。」
「「二人で協力して妹を守る。」」だったらな。」
「よし。」
と言い、雷舞が拓斗の右手を強く握りしめ、「決まりだ。」と言った。
するとその時。
「グルルルルルル……」
さっきと同じような生き物が、何体も、何体も、呻き声をあげながらこちらにゆっくりと、ゆっくりと近づいてきた。
「おい、嘘だろ……。まだいるのかよ。」
「多分、少なくとも100体以上はいる。」
「マジかよ……。」
すると次の瞬間。
「キシャアアアアアアァァァァァァァ!」
急にそいつは、速度をあげて追いかけてきた。
「沙耶香! 逃げるぞ!」
「亜理沙!」
……雷舞は亜理沙をおぶった。しかし、おぶっている間の6秒間にその生物は既に二人の100m先から20メートルの位置にまできていた。
「くそがアァァァァァァァ!」
雷舞は馬鹿力を発揮し、秒速10メートルで走った。
「おい! 大丈夫か!」
拓斗が雷舞に話しかける。
「ああ。これからどうする!?」
「とりあえず、ここから離れるぞ!」
2
とある路地裏。
「そういえば、自己紹介してなかったな。」
「あ、そうだな。」
「俺は青山拓斗。沙耶香の義理の兄貴。あ、こう見えても23歳だ。」
「えっ! そうなんですか! 俺、先輩にタメ口使ってました! すみません!」
「じゃ、次はお前な。」
「あ、はい。俺は切口雷舞と言います。亜理沙の兄です。……名前の方、“カミナリ”の文字に、舞台の舞って書いて“らいぶ”と読みます。」
「そうか。よろしくな。雷舞。」
「はい。拓斗さんこそ、よろしくです。」
そして、この日、2つのグループが、1つになった。
しかし、その時の拓斗たちは、これからいくつもの困難が待ち受けていることを、知る由もないのだった。
To be continued……
妹身防衛 ~Defencing of Sister~ 柊木緋楽 @motobakaahomaker
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