とある宇宙戦争における戦術①
アストルヒィアの次元転移による艦載機を用いた奇襲攻撃。
アストルヒィアにて開発された、次元転移機構を用いた奇襲攻撃の戦術。
自動戦闘プログラムを搭載したことで自立戦闘ができる艦載機に対艦兵装を搭載し、母艦の次元転移機構を用いて指定座標に艦載機を送り込み、懐深くに入って敵艦隊に一撃必殺の対艦攻撃を加え、艦隊を殲滅するという戦術。次元転移機構を用いた攻撃のため、敵の座標さえわかれば実質無限の射程で攻撃が可能。小さすぎて超光速航行の機関を搭載できないが安価で量産しやすい艦載機とそれを運用する起動戦力を戦場の不可欠な要素とし、主流であった大艦巨砲主義の流行を一新させた画期的な奇襲戦術。
1.戦術確立の経緯
発起当初の時代は、アストルヒィアの次元転移機構を始めとする宇宙空間の広大な距離を一瞬で移動する各勢力の超光速航行技術の普及により、それらの機関を搭載できない小型の兵器である起動戦力は、最大の利点である射程において大きく劣るようになったために廃れ、母艦から大艦巨砲主義に艦艇の開発傾向が移っていた。
その中で、アストルヒィアでは大艦巨砲主義に沿った重装甲重武装を持つ艦艇の開発技術、そして艦隊決戦において衛航艦を用いることで長距離射程攻撃に対する高い防御性を得られるようになった艦隊決戦運用戦術によって、帝政クラルデンに劣り戦況が不利に傾いていた。
帝政クラルデンに対抗するために、アストルヒィアでは艦載機に艦艇に対する有効な戦術、新兵器の開発が早急に必要であった。
アストルヒィアが最初に考えたのは、次元転移機構を用いて衛航艦のシールドの内側に入って近距離の艦隊戦に持ち込むことだったが、そもそもショートレンジの戦闘を得意とするクラルデンの艦隊に対しそれは悪手であった。
そこで艦艇ではなく、艦載機を次元転移で飛ばし奇襲による一撃必殺の攻撃を加えて艦艇を撃沈に追い込む戦術開発を進めることとなった。
これが艦載機による奇襲戦術の基礎となる。
その後、帰還できない一方通行の戦術であるために艦載機の腕利きパイロットを使い捨てにすることから人道的観点などより無人艦載機を用いるようになり、遠隔操作では通信にタイムラグが生じて艦載機をリアルタイムで操作できなくなる上に妨害を仕掛けられればカカシにされるなど対抗策を生み出されてしまい、そこからさらにパイロット達の操作技術などを模倣させ学習させた自動戦闘プログラムを搭載した自立戦闘型の艦載機を運用するようになった。
クラルデンの艦艇といえど、その装備は艦隊決戦用に割り振られており、小回りの効く艦載機の対空迎撃能力は廃れていた。これにより海洋における艦隊戦を踏襲するかのように、大艦巨砲主義の時代に終わりを告げるような作戦行動中の戦艦を航空戦力によって撃沈するという戦果を多数生み出し、新たな機動戦力を用いた戦術の時代を生み出した。
次元転移機構を搭載した艦艇は、対艦兵装を満載させ、自動戦闘プログラムによる自律戦闘能力を与えた代わりにパイロット不在のために生体維持機能などを撤去した艦載機よりも圧倒的に高価である。コストの面から言っても、使い捨てが前提となるこの戦術に安価な艦載機を用いるのは合理的だった。
2.有用性
この戦術の有用性は、観測さえできれば実質無限の射程を与えることができる点と、安価な艦載機の攻撃で敵の艦艇に被害を与えることができる点、失敗したとしても受ける損害が少なく済み敵艦隊の陣形を乱すなどによって艦隊戦を優勢に進めることができる点などがあげらる。
3.デメリット
次元転移機構により艦載機を指定座標に送るため、逆探知されれば味方の艦隊の位置をバラすことにつながる。帝政クラルデンにおいてはこの点に注目し、次元転移機構を模倣し開発したことで、様々な対抗手段や艦載機だけではなく雷撃やミサイルなどを飛ばして攻撃するなどといった新たな運用法を生み出すことにつながった。
………とはいえ、その有用性は非常に高く、この戦術は確立から長い時を経てもなお大艦巨砲主義の流行を押さえ込み時代の一角を担い続ける戦術として発展を続けている。
とある宇宙戦争の物語.設定など 大艦巨砲主義! @austorufiyere
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