孤独を紡ぐ機械。
僕がひとりぼっちになってしまってから
どれほどの時間がすぎていったのだろう
その間にも自分ひとりの手で創っていた
機械を操る手だけは止めないでいたが
どうもこの機械が生みだすものが
ひとりという絶望だと気づかされていた
僕はもう僕の名前を覚えていないけれど
君に贈りたいと思っていた言葉ばかりは
まだはっきりと思い描くことができる
どうか優しくしないでもらえないだろうか
ひとりでいる時間という虚しさの中で
剥きだしにされた心臓が痛まないように
ネジを締めて機械はようやっとできたが
それを使うあてもなければ意味もない
この機械はひとりぼっちで創ったから
生みだすものもひとりぼっちの時間だと
割と簡単に思い当たったひとりきりの僕は
その時を境に笑うことを止めていたのだ
ラヴソングすらも歌えないままで沈み
機械の傍らに置いたままのギターを鳴らす
この広いようで狭い世界の片隅のあたりで
誰も彼にもそっぽを向いた僕が歌うのは
機械を創り上げるまでの道のりを綴った
なにも最初からなかった日々のバラードだ
機械を動かしてみたら歯車は軋み始めて
視界がどんどんと暗くなるのを感じていた
消えてしまいたいと何度も嘆いたのに
消えることすら許されないままで生きて
これまで数多の虚しさばかりを貪ってきた
その最果てにいるのがいまの僕なのだ
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