白昼の夢見物語。
君を置き去りにしたのがいけなかったのだ
嘘ばかりに塗れた君ひとりだけでは
当たり前のように生きることもできない
本心はなんとなくわかっていたけれど
それを悟られて孤独になるのが怖くて
もう少しだけ隣にいてほしかっただけだ
君から見た僕はヒカリを湛えたようで
まっすぐで美しかったかもしれないけれど
そんなのはきっと出鱈目なのだろう
本当の僕は自分で自分を保てもしない
怯えて凍えて縮こまった魂しか持たずに
君のつく優しい嘘に溺れただけなのだから
厭らしい考えだとは僕自身でも思うけれど
いまの僕は自分自身を肯定しきれない
君をひとり残してしまった罪に曝されて
真昼の太陽の下をとぼとぼ歩きながら
どうやって君に償えばいいかを考えつつ
堕ちてゆく思考を繋ぎ止めているだけだ
まるでこれは白夜のようではないのかと
一瞬だけだったけれどそんなことを思った
真昼のように見える夜という優しさが
僕を包み込んで外へださせてくれないから
君みたいに全部を嘘にできたらいいのに
君を嘘にしたくないから足掻くしかない
ヒカリがあるのに輝きはまったくなくて
くすんだ色が幾重にも連なっては刺し
僕は一生眠りたくないと思い始めていた
夢を見てしまうことが怖くて仕方なくて
その癖に白昼夢という現実に殺されて
物語の最後に終止符をひとりで打っていた
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