風雪の邂逅。
吹雪の中で悴んだ手を温めていた
ほんの小さな温もりでもいい
誰かに逢いたくて彷徨ったけれども
雪が行く手を阻んで前が見えない
思いばかりが募るだけで
吹き荒れる風が世界を壊していた
確かにいると思える君だけれど
出逢いの時がいつになれば訪れるか
まったく読めないままで歩いていた
理不尽にあすを奪う風雪の音が
滅びの報せを微かに確かに告げたから
もうどうやったって無駄かもしれない
ヒカリが雲間から除く刹那に
ほんのわずかに残された悲しみは
溶けてゆく雪とともに消え去った
いつか逢えるはずだと信じて
世界をハンマーで叩き潰しながら
わからない胸の爛れを轢き殺した
やがて冬が終わりを迎える瞬間に
最後の嵐が僕と君を断ち切っては
まだ出逢わせることを許してくれない
さよならを世界に告げたかったけれど
僕の声は荒れ狂う空に掻き消されて
君に届くかがまったく読めなかった
嵐がすぎたあとの君が微笑む
遠く離れてこそいたけれども
いまはその存在が間近に感じられる
雪の見せた断章がふたりを近づけては
ようやく出逢いの時を与えてくれたから
こころからありがとうとだけ伝えたい
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