キミ求める季節

カゲトモ

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 日曜の夜はゆったりとした時間が流れることが多い。開店してすぐから三時間ぐらいがピークで、その後は緩やかに落ち着いていく。今も狭い店内には二人の客しかいない。

 カロン、と扉のベルと同じような音がしてグラスの氷が解けた。実はその音に似ているベルを探し回ったのだ。

 カウンターに腰を下ろす二人のお客様。一人は何度か足を運んでくれている女性で、斉藤君が対応してくれている。俺の前には常連客のユウキさんがいた。苗字なのか名前なのか、それは知らない。

「ふふ」

 いつも店に来ても無口なユウキさんが突然小さな笑いを零した。

「どうされました?」

 思い出し笑い、そんな風に見えたから話しかけた。

「あ、いえ、大したことじゃないんですけど」

 ユウキさんは少しだけ驚いた風にしてから表情を柔らかくしてそう答えた。

「思い出し笑いを」

 そう言ってまた小さく笑った。

 ユウキさんがそんな風に笑うのは初めてだった。

「差支えなければ、教えてくださいませんか?」

「え」

 何となく面白そうな気がして訊いてみた。独り身だからか、誰かの話を聞くと言うのは楽しいものだ。

「本当に大したことじゃないですよ」

 そう前置きして「実は」と続けた。

「祖母の遺品を整理している時に見つけたんです。祖父からのラブレターを」

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