第2ー6話 女心とアホなタマなのです。
「今日はコンちゃんにダンジョンとはどんなモノなのかを見てもらおうね。マー君はコンちゃんを守ってあげてね。」
フェミちゃんの言葉にマー君は親指をビシリと立てる。
今の第5ダンジョン部のメンバーにとってこのダンジョンは目を瞑っていても楽勝だ。仮に以前のようにマンティコアが出ても問題はないだろう。
コンちゃんにダンジョンのいろはを教えつつどんどんと進んで行く。
「コホッ…すみません、少し…休んでいいですか?『急速』に『休息』したい…なんつって。」
ダジャレを言いつつもいつもの「ぷぷぷ」は出ない。本当に疲れてるんだね。
「よし!じゃあ少し休もうか。ちょっとペース速かったかもしれないね。」
フェミちゃんの指示で各々腰を下ろす。メガネを挟んでフェミちゃんとコンちゃんが並んでいた。
「コンちゃん大丈夫か?」
「うん…じゃなくて、はい。久しぶりにたくさん歩いたから少しだけ疲れちゃいました。」
「僕には敬語はいいよ。ほら水分とって…。」
メガネはペットボトルをコンちゃんに渡した。
「昔からだけどメガネ先輩は優しいね。」
そんな2人の会話を聞きながらフェミちゃんはつまらなそうにあさっての方向見ながら足をパタパタしている。
「おいタマ。」
「何だ?テレちゃん。」
2人は通路の反対側に座っていた。
「ちょっとメガネ呼んで来い。」
「何で?」
「いいから呼んで来い。」
何か怒ってる?
「お願いならもっと可愛く言ってくれ。」
「今回ばかりはお願いじゃない。命令だ。」
【後日のタマへのインタビュー】
「ええ、いつもと違うなって思ったんすよ。」
“違うとは?”
「テレちゃんは『赤い彗星テレちゃん』と呼んでも良い位に通常の3倍素直な子なんすよ。だから『可愛く言ってくれ』って言ったら恥ずかしがりながら可愛く言ってくれるんです。」
“それはイチャついてるのを自慢していると受け止めてよろしいですか?”
「それがその時は有無を言わせずに命令という言葉を使って俺をパシリにしたわけです。」
“さっきの問いは無視しましたね。それはテレちゃんの尻に敷かれていると解釈してよろしいですか?”
「だから何かにかなり怒ってるんだなって思いましたね。」
“また無視しましたね。”
「ここまでではないにしてもたまに怒るって言うか機嫌が悪い時があるんすよ。そんな時は素直に言う事を聞くに限りますね。じゃないと作ってくれる手作り弁当に俺の嫌いなパプリカとオクラを入れられてしまいますから…。」
“無視した上に更にイチャつきを重ねて来ましたね。鈍器で殴っていいですか?”
「だから急いでメガネを呼びに行きましたよ。」
“ちゃんと聞けやこの野郎!”
「おい!メガネ!ちょっと来い!!」
タマは高校球児ばりの猛ダッシュでメガネに近付き声をかけた。
「ん?何で?」
「いいから!とにかくいいから!!」
タマは不思議そうな顔をしているメガネの手を引っ張りテレちゃんの所へ連れて行った。
「メガネ、ちょっとそこに座れ。」
いつもと違う迫力のテレちゃんにメガネは驚きつつも素直に従った。
「お前はバカか?コンちゃんコンちゃんって、ホント女心が解ってないな。」
メガネはキョトンとしている。
「お前今日何回フェミちゃんと話した?」
「え~と、朝コンちゃんとフェミちゃん家に迎えに行って『おはよう』ってそれから…」
「それから?」
「それから……」
「な?話してないだろ?何もコンちゃんを邪険にしろって言ってるワケじゃないんだ。従妹だし心配なのも分かる。ただフェミちゃんに寂しい思いだけはさせるなよ。」
メガネはチラリとフェミちゃんを見やり視線を戻すと「うん」と自分に言い聞かせるように頷いた。
「そうだぞメガネ。本当にお前は女心が解ってないな!この鈍感伊達眼鏡野郎め!」
テレちゃんは深い…それはそれは深い溜め息をついた。お前が言うなよタマ。
でも男子諸君、女心は難しいよね。まあ、女心と一括りにする事自体がきっと間違ってるんだろうと作者は思うのよ。前の彼女がこうだったからって同じような事しても反応が全然違ったりもするしね。結局は気遣いだよね。こんな事を説教くさく言ってる作者だって出来ているとは思えない。すまん嫁!!この場を借りてお詫び申し上げます。……何の話だ!!
フェミちゃんとコンちゃんの間に戻ったメガネはフェミちゃんに一言二言声をかけた。フェミちゃんの顔に笑顔が戻る。
「うむ。良かった良かった。しかしメガネにも困ったもんだな。」
「まあ、あの2人も付き合って半年過ぎたからな。メガネも悪い意味での慣れが出て来たんだろ?」
「なるほど。」
「お前もだからな…。」
「ん?何か言ったかテレちゃん?」
「……何でもないよ。」
テレちゃんは心に決めた。これは『パプリカ・オクラの刑』だな…と…。
パプリカ農家オクラ農家の方ごめんなさい。パプリカとオクラ美味しいよね!うん、美味しい!……作者は苦手だけど…。
次回!!懐かしの山盛りスライムとの戦闘!コンちゃんが頑張る!……つづく!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます