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遥は人間のすべてをデータとして解析、分析して保存することで人間を人工知能に変換するという技術に夢中になっていた。言ってみればそれは『魂の保管庫』だった。
そうやって自分をたくさん保存して、たとえば(人が生まれ、成長しながら)十代、二十代、三十代……、の自分などをあらかじめ記録、保存しておいて、それらのデータを素体を利用して一から作り上げた自分の好きな体に移し替えることで、何歳のころの自分にもいつでも会えるし、体が壊れても問題ない、という技術を完成させようとしていた。(苦痛も、病気も、老いも、死も関係ない)
その技術が完成すれば、それはもはや擬似的な『不老不死』と言っても差し支えないような研究だった。遥はそれを自分のためではなく人類のために行っていた。いろんな人から文句を言われたけれど、遥はそれが、つまり『不老不死』が、人類の夢であり自分が現世で行うべき仕事だと確信していたようだった。しかもその夢は実現可能まで、あと一歩というところまで到達していた。遥はその技術を、躊躇も迷いもなく、完成させようとしていた。
(……それは確かに禁忌だったのかもしれない。神様に対する挑戦だったのかもしれない。遥の犯した罪だったのかもしれない。……そんなことを最近、澪は少しだけ思うようになった)
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