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さようなら、夏。もう私たちは会えない。抱きしめることも、お互いを確かめ合うこともできない。もうこれでさようなら。ずっとずっとさようならだね。
夏。さようなら、夏。私を愛してくれてありがとう。私、夏のこと大好きだよ。夏のすべてが好き。夏の嫌いな夏も私は好きだよ。私を見つけてくれた夏。私を愛してくれた夏。私に形をくれた夏。私を追いかけてきてくれた夏。私に会いに来てくれた夏。大好きな夏。(……夏、夏、夏)
私は、木戸遥は、あなたに会えて本当によかった。瀬戸夏に会えて『彼女』はすっごく幸せだったよ。
だからさ、今度は私の出番だよね。(夏はこの場所まで私に会いに来てくれることで、私への愛を証明してくれた)今度は私が、夏への愛を証明しないとね。夏、大丈夫だよ。
夏、あなたは死なせない。絶対に私が守ってみせる。私が(銃の)引き金を引いたら、すぐに逃げて。あなたはすぐに逃げだして、全力で走って、後ろを振り向かないで、そのまま地上に逃げて。殻の外まで逃げ切って。
この研究所での出来事は全部忘れてしまって構わない。あとは私がなんとかする。大丈夫。夏はなんの心配もする必要はない。これは夢なんだから。全部私が見ている、ただの個人的な悪夢、にすぎないんだから。だから大丈夫だよ夏。
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