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 あなたの心が形になる。あなたの愛が形を作っていく。夏。ねえ、知ってる? 夏。『愛ってね、形のこと』なんだよ。あなたの愛が形を作る。あなたが受け取った愛があなた自身の形になるんだよ。

 あなたの形はあなたの愛そのものなんだよ。『あなたは愛されている』。それにもしあなた自身が気がついていなかったとしても、あなたは愛されているんだよ。愛なの愛。愛がすべてなんだよ。(知ってた? 嘘っぽいけどさ、実は本当のことなんだよ)

 形あるものはすべてが愛。愛そのものなんだよ。夏。あなたという存在がすでに愛そのものなんだよ。(あなたは愛されて生まれてきたの)

 だからね、悲しむことなんでないんだよ。我慢なんて夏らしくないよ。(夏は泣き虫だけどさ、涙は夏の味方だよ)自分を嫌いになんかならないで。敵なんてどこにも居ない。あなたを嫌いになる人なんていない。あなたには勇気がある。きっと一歩を踏み出せる。(もっともっと、ずっと先まで歩いていける。走ることだってできる)

 夏だからできること。それは私には(木戸遥には)できないことだ。そういうことがたくさんあるんだよ。夏。きっとすっごくたくさんあるんだよ、……夏。


 遥はそこでふと自分の思考の世界から現実の世界に戻ってくる。するとそこには夏がいる。そして、その隣には木戸遥もちゃんといる。その事実が、遥はなんだか嬉しくてたまらなくなった。遥はじっと夏の白い横顔(夏は体を横にして眠っている)を見つめる。

 私たちさ、もっとたくさんお話すればよかったね。もっとたくさん遊べばよかった。(どうしてそうしなかったんだろうね。きっと、私が悪いんだろうね。夏は私とずっと一緒に遊びたがってたもんね)

 夏ともっとたくさんの時間を過ごせばよかった。つながればよかった。本当にそう思う。私、ばかだよね。逃げたのは私。手を握らなかったのも私。夏との繋がりを恐れたのも私。みんな私のせい。全部全部私のせい。夏はなにも悪くない。本当だよ。だから責任はすべて私がとる。


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