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夏は体を動かしてみる。まるで水泳をするように空の中で手足をばたばたと動かしてみる。すると夏の体がふわりと浮いた。(びっくりした!)
この現象に夏はとても驚いた。夢の中で空を飛べたことはあったけど、それは空を飛ぶというよりは空から落っこち続けていると言う表現のほうが近い現象だった。
でも今は確かに自分の意思で夏は空を飛んでいた。(泳いでいた?)慣れないし、不恰好だし、それはほんの少しの自由自在というわけにはいかない、生まれたての赤ん坊のようにゆっくりとした動きだったけど、それでも確かに夏は空の中を飛んでいた。
夏は嬉しくなって空を飛んだ。上に向かって飛び続けた。(ゆっくりとした速度だけど)
やがて夏は雲の上に出る。雲を背にした夏の目に太陽の光が飛び込んできた。夏は太陽に視線を向ける。不思議とそうしていても目は潰れない。不安にもならない。何故ならあの太陽は偽物の太陽だからだ。それは少し前に一度、夏が自分の目で確認をしたことだった。あれは雲の壁を突き抜ける前に見た太陽と同じ太陽のようだった。北極星のような偽物の太陽。(夏はその太陽のことが気に入っていた。なんと言っても怖くないのは良いことだ)
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