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「じゃあ人工知能を利用すればいいんじゃない?」
「とてもいいアイデアだけど、それでもだめなの。人工知能は人間が作り出す物だから、作り出した段階でエラーの対象になってしまう。完成したあとも人工知能は人間を模倣するから、結果的にエラーを起こしてしまう」
「それはインターフェイスとしての人工知能の話でしょ? 澪みたいに自立していれば問題ないんじゃない?」さっきからディスプレイの中でレーシングゲームをしている澪は、明らかに自立しているように思える。澪は人の手から離れて人のフレームの外側の世界で生きているように夏の目には見える。ボートの上で遥の言っていた複雑な人工知能とはシロクジラのことではないのか? きっとそうだろう。
「複雑な人工知能」
「そう。複雑な人工知能」それがどんなものか理解しないまま、適当な相槌を夏はうつ。遥は少し考える。
「澪は問題外。人工知能に人格を持たせることは結局人の模倣だから、あまり意味はない。愛玩用目的以外はね」遥は言う。
本当にそうなのだろうか? 一瞬だけ夏は疑問に思う。でも遥がそういうのならそうなのだろうとすぐに思い、その思考を廃棄する。
「じゃあどんなにがんばっても今の科学じゃ光で暗闇をなくすことは無理ってことだよね?」
「それどころかどんなに進歩しても無理」
「え!? そうなの!?」夏は言う。
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