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 遥は白い毛糸で編んだふかふかのタートルネックのセーターにクリーム色のスカート、その上に鮮やかな赤色のダッフルコートを着て、首には白色のマフラーを巻いている。足元は黒いブーツ。手には薄手の毛皮の手袋をつけている。

 全体的に白や黒のような落ち着いた色の服を選ぶことが多い遥の服装の中で、その真紅に近い赤色のダッフルコートはとても目立つ色をしていた。赤は遥の一番お気に入りの色だった。

 夏は遥に借りた水色のコートを着て、その下には紺色の学園の制服、首には白いマフラー、足元はスニーカー、頭に白いぽんぽんのついた毛糸の帽子をかぶっている。手には灰色の毛糸で編んだ手袋をつけている。

 水色のコート以外は旅の服装と代わり映えしない格好だった。旅の途中と違うのは愛用のリュックサックを所持していないことくらいだ。

 夏は荷物をなにも持たないまま、手ぶらで遥の部屋を出たが、遥は小さな黒色のリュックサックを背中に背負って部屋を出た。その中には遥がいつも部屋で使っているノートパソコンが入っている。リュックサックの膨らみ具合からみたところ、それ以外にもなにか荷物が入っているようだが、夏にはもちろん、その中身がわからなかった。

 それにしても遥はその荷物の用意をいつしたのだろう? 夏がお風呂に入っているときだろうか? そんなことを夏はふと疑問に思う。

 二人はすでに駅のある森を抜けて、緑色の草原の中を歩いている。神秘的な雪の降る夜を眺めながら永遠に広がる緑色の草原の中をゆっくりと手をつないで散歩をする。先導するのは遥。夏は遥についていくだけだ。らくちんである。その散歩の間も二人の手はずっと繋がっている。

 夏はある程度、覚悟をしてきたのだけど、地上は思っていたよりも寒くはなかった。

 それは自然な現象ではなくて、どうやらドームの内側は気温の調整がある程度可能なようで、事前に遥がその機能を使ってあらかじめドーム内の気温を少しだけ暖かくなるように調整してくれていたようだ。

 それでも、もちろん季節が変わったわけではないので、遥の貸してくれた水色のコートがなければやっぱり寒かったと思う。夏は遥にありがとうと心の中でもう一度、感謝をする。

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