第7話 おおきなかえる
拳が蛙をつつきます。グア、グア。なかなか蛙は割れません。
後ろ足が取れ肉は枯れ果て無惨な姿となっても蛙は割れず、血だらけのももの筋肉は、存在しない足を動かして跳ねようと、虚しい運動を繰り返しています。
人はなぜ、そうしてまで醜い生にすがるのでしょう。
人はなぜ、死を受け入れられないのでしょう。
全ての力を込めて。
グア、グア。
執拗に蛙に執着する拳さんは、もう何時間もその様子を眺めていたことに気づきます。
その憎しみを込めて。
グア、グア。
それでも蛙は割れません。
仕方がないので拳は岩を呼び、圧倒的な重量によって蛙を粉砕します。
岩は叩きます。ゴツン、ゴッツン。
岩は叩きます。ゴツン、ゴッツン。
岩は叩きます。ゴツン、ゴッツン。
岩はこの拳と違って何の感情を持たず、盲目に殴打を繰り返すだけのもの。
岩は何度も叩きます。ゴツン、グチャア。
岩は何度も叩きます。ゴツン、グチャア。
ついに蛙が割れると、肉が裂け骨に当たる音とともに、中から玉のような赤ちゃんが
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