夢の片隅

火炎放射機

第1話まどろみの中で

なぜこんなところに居るんだろう?


何かあって、自分はここへ来たのだろうか?学校の中の、教室の中のようなところにいるのだろう


おかしな所にいるものだと、焦り、考えられないまま考え教室らしいここを出ようとして、扉が開かず、鍵穴もないことが分かって、バンバン叩いてはガンガン蹴って、しばしうろつくこと3分ほど・・・なにがなんだかわからなくなり、ふと力が抜けて側の席に座りこんでしまって、もう途方に暮れるしかない


―ああぁっ―なんだ?―なんだここは!?―教室らしいってことは分かった―でも多分そうだ―


―らしいってだけで、教室ってわけじゃあないんだろう―


並べられた席、目の前の教卓、黒板、後ろには物入れのようなロッカー、形としてあるだけみたいな窓に扉、誰もいない


―おーーい!―誰か居ないか!―


―おい!―聞こえるか!―おい!―


しだいに不安は苛立ちに変わっていったようで


―ここから出せ!―おい!――あぁ、くそ・・・―


再び扉を叩き、窓を思い切り蹴る、席の椅子を窓に投げつけては「ガン!」と音を立てるだけで割れることがなかった、やれることを片端からやってそこそこ疲れてきたような



―あぁ・・くっそ、なんなんだここは!―どうしてこんなところに居るんだ―さっさと出たい―


何もせずにいると気がおかしくなりそうな、そんな気がしたからか、三度、扉と窓に当たる


思い切り投げつけた椅子が窓に当たって、音だけ立てては落ちて、それを何度とやって



ガン! ガン! ガン!



持ったまま叩いて



ガン!ガン!





────あははっ── ──っふふ─




鳥かなにかのさえずりのような、音のような声が耳に入る


―っ?―なんだ?―


右を見たり左を見たりしながら、窓のそばからすっすっと後ずさる、自分の前から聞こえた声に反応する



───こっち──



―おい!?―誰かいるんだな!?―


前から聞こえた声に話し掛け、左右に首をふりながら、辺りを見ながらまた窓に近付いていく




────こっちだよ──




――!?



前から聞こえた、けど体はすぐに後ろを向いた



────っふふ──



驚きと戸惑いが溢れたのち、何か言おうとしてもなかなか言葉にならず、声のもとである相手を視野に入れていた


子供、10歳かそれに近いくらいだろう、黒い服を着た、長い髪の、この教室の中に、薄ら笑っている


なんだろうか、わからないがそこに居るのは事実だ、さっきまで居なかっただろうなんてことを聞いても、おかしくなりそうだから聞かないようにした



―なぁ、おい――きみ、一体―


外から入ってきたのか?さっきからこの教室の中に一緒に居たのか?考えつかないまま考えようとして、とにかく声を掛けて



声を掛けた瞬間、見ているものが千切れていくような、断片的に消えていくような



──っふふふ──あはははっ──



なにも目に映らなくなったとき、さっきのような笑い声が響いた

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