第6話 交差する運命
ああ、ああ!なんて最悪なのだろう!
今までにこんなに悲しい確率を計算することがあっただろうか?いや、ない。
反語形を上手く使えて嬉しいなどと抜かしている場合ではない。
……なんと、当番が最も顔も見たくない男と被ってしまった。
俺は、今、図書委員で、図書当番の曜日を決めている真っ最中。
一緒になりたくない奴が…俺と同じ曜日に書いてきやがった…!
その名は、
…あの子の、俺の大好きだった子の彼氏。
はぁ…ついてない。
しかも、当番今日からじゃん。
放課後。俺は、ちゃんと図書館へ出向いた。
すると、やはり、予想どうり、ヤツはいた。
「あ、雪吉くん」
…なんで、そんな嬉しそうなの?
にこにこっと笑う春河。
…愛想のいいヤツ。
…そりゃあ、モテるよな…。
「雪吉くん、返却の作業は全部やっておいたから」
「ええっ!?ぜ、全部!?」
「うん」
「あ、ありがとう…。」
まさか、全部やってくれるなんて思いもしなかった。
「じゃあ、カウンターの仕事やっておくからあとは、任せて?」
「いいや。俺もやる。」
そう言うと、椅子に座る。
……な、なんて良い奴なんだ……!
漂うイケメン感。溢れる優しさ。
何よりも、クールだ……!
やっぱりモテるやつにはモテるなりの理由があると、分かった。
…でも、良かった。
こんな良い奴が、あの子の彼氏で。
悔しさと、安心で俺の心はいっぱいだった。
雪吉くんは、あの子が大好き アビト @Abito
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。雪吉くんは、あの子が大好きの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます