第317話 六角中央警察署 警察署長
テレビを消して静まり返った部屋に女性警察官のブラインドタッチ音が響く。
黄色みがかった壁時計の秒針は裏のリズムを刻んでいた。
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■黒杉工業 代表取締役 黒杉太郎の被害者と思われる人物。
●川相総。元、黒杉工業勤務。
六角駅前のロータリー前のビルから抗議文をまき飛び降り自殺。
「罪を償え」はなにを意味しているかは不明。
ネットでは、プランターに落下したため大事に至らなかったという情報もあるが、じっさいは頸椎損傷により即死。
ビルのうえに残されていた遺書には、娘の川相憐の人生を心配する旨が書かれていた。
遺書は指紋、筆跡鑑定により川相総の直筆だと断定されている。
※補足 手すりに真っ黒な絵があった(?)
●川相憐。元ショップ店員。
川相総の娘で家に閉じこもっている。
川相憐の母親は川相憐に宛ての採用通知(有名ブランドのパタンナーで採用)を勝手に開いて捨てた。
※法的には「信書開封罪」
その後、引きこもってしまった娘に罪の意識を抱き自殺。
●哀藤祈、黒杉工業に勤めていた若手社員。
六角駅で飛び込み自殺。
死の直前に自殺をほのめかしていた(遺書を書くためにノートを購入?)というコンビニ店員の証言あり。
結局ノートは見つからずじまい、購入したのかも不明。
インターネット等で購入した可能性もあり。
(事件性が否定され捜査令状がおりていないために追跡調査はしていない)
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「こんなかんじでどうでしょう?」
女性警察官は2in1PCを丁寧に持ち上げ戸村のほうに向けた。
「ええ。ありがとう。なるほど。これにあなたの官房機密費と黒杉工業の関係を予断込みで追加してくれないかしら?」
「えっ!? 私の予断ありでいんですか?」
「ええ。だって私たち警察も聞き込みときは予断ありありの話を聞かされるじゃない」
「わ、わかりました。けど、ほんとにいいんですか?」
「現実って怪しい人はたいてい被疑者じゃない」
「まあ、そうですよね。近所の噂話ってあながち間違ってないですもんね」
「あくまであなたの独断と偏見の視点で見てみたいの。それに対して私が反証していけばいいわけだから」
「わかりました」
女性警察官はふたたび2in1PCを机の上に置くと両手をキーボード当てた。
右て人差し指が軽やかにエンターキーを叩く。
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戸村刑事が六角中央警察署に研修(調査)にきた理由。
内閣官房機密費の流れを探るため。
■関与が疑われる個人と組織(ソースは戸村刑事)
・鷹司官房長官(総理が入院中のため現在、内閣のトップ)
・四仮家元也(脳神経外科の医師、元、六角第一高校の校長、まだ六角市在住?)
→官房機密費流用の鍵を握っている?
かつて六角市にて佐野和紗という少年を保護したことがある。
・NPO法人『幸せの形』(孤児や遺児などの生活のサポートしている非営利団体)
→官房機密費流用の鍵を握っている?
■関与を疑っている個人と組織(独断と偏見)
・株式会社ヨリシロ
→六角市でいちばんの名家であり権力者。
なにかと自由に動ける。
市内にある高校の改修工事などにも関わっていて巨額のお金が動かしても怪しまれない。
企業としてヨリシロの頼みなら断れない人物は社員、一般人、含め大多数にのぼる。
・六角神社
→宗教法人は非課税。
社殿は滋賀県などに見られる神仏共存の造りをしている。
よって社殿の建て替えなど「
・国交省
→株式会社ヨリシロを経由で黒杉工業に大量のソーラーパネルの発注をしている。
黒杉工業からいくらかキックバックさせている? あるいは株式ヨリシロがさきに中抜きして国交省に還流している?
・黒杉工業
→社員や関係者に自殺者が多い疑惑の大手建設会社。
・六角中央署の署長
→黒杉太郎とゴルフ仲間。
川相総、飛び降りの捜査を早々と終えた(なぜ?)
音無霞も(?)→これは黒杉の顧問弁護士は接触した可能性が高い。
・音無霞、黒杉工業(?)との会食で性的暴行を受けたと六角中央警察署に相談にきていた。
被害届をすぐに撤回している。(黒杉工業の顧問弁護士が接触か?)
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「あの戸村刑事、さっきの滋賀県っていうのはなんだったんですか?」
三分後に両腕を止めた女性警察官が訊いた。
「ああ、あれは。確定じゃないんだけど近畿地方のいくつかの県にお金が流れた痕跡があったの」
「そうですか」
「ただ、それって本来の適切な使い道なのかもしれないし。まあ、官房機密費の本来の使い方っていうのがそもそもなんなのか……」
「わかりました。できました。いかがでしょうか? ただ自分で文字を打っていて思ったんですけどこれって管轄飛び越えた金融系知能犯ですね。戸村刑事がきた意味がわかりました。場合によっては合同捜査本部の丁場立ちますね」
女性警察官がいったと同時に六波羅が立ち上がると画面を二回タップしたあとにキーボードの「BACK SPACE」を強く押し指を当てつづけている。
画面の文字は流れるように消えていった。
「ちょ、は、班長。なにするんですか?」
「これだけは許せん。署長は黒杉太郎の悪行の証拠を掴んで必ず
「えっ?」
「おまえ、音無霞の書類どこで手にいれたんだ?」
六波羅が強い口調でいったと同時に「BACK SPACE」のキーから指を離した。
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■黒杉工業 代表取締役 黒杉太郎の被害者と思われる人物。
●川相総。元、黒杉工業勤務。
六角駅前のロータリー前のビルから抗議文をまき飛び降り自殺。
「罪を償え」はなにを意味しているかは不明。
ネットでは、プランターに落下したため大事に至らなかったという情報もあるが、じっさいは頸椎損傷により即死。
ビルのうえに残されていた遺書には、娘の川相憐の人生を心配する旨が書かれていた。
遺書は指紋、筆跡鑑定により川相総の直筆だと断定されている。
※補足 手すりに真っ黒な絵があった(?)
●川相憐。元ショップ店員。
川相総の娘で家に閉じこもっている。
川相憐の母親は川相憐に宛ての採用通知(有名ブランドのパタンナーで採用)を勝手に開いて捨てた。
※法的には「信書開封罪」
その後、引きこもってしまった娘に罪の意識を抱き自殺。
●哀藤祈、黒杉工業に勤めていた若手社員。
六角駅で飛び込み自殺。
死の直前に自殺をほのめかしていた(遺書を書くためにノートを購入?)というコンビニ店員の証言あり。
結局ノートは見つからずじまい、購入したのかも不明。
インターネット等で購入した可能性もあり。
(事件性が否定され捜査令状がおりていないために追跡調査はしていない)
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戸村刑事が六角中央警察署に研修(調査)にきた理由。
内閣官房機密費の流れを探るため。
■関与が疑われる個人と組織(ソースは戸村刑事)
・鷹司官房長官(総理が入院中のため現在、内閣のトップ)
・四仮家元也(脳神経外科の医師、元、六角第一高校の校長、まだ六角市在住?)
→官房機密費流用の鍵を握っている?
かつて六角市にて佐野和紗という少年を保護したことがある。
・NPO法人『幸せの形』(孤児や遺児などの生活のサポートしている非営利団体)
→官房機密費流用の鍵を握っている?
■関与を疑っている個人と組織(独断と偏見)
・株式会社ヨリシロ
→六角市でいちばんの名家であり権力者。
なにかと自由に動ける。
市内にある高校の改修工事などにも関わっていて巨額のお金が動かしても怪しまれない。
企業としてヨリシロの頼みなら断れない人物は社員、一般人、含め大多数にのぼる。
・六角神社
→宗教法人は非課税。
社殿は滋賀県などに見られる神仏共存の造りをしている。
よって社殿の建て替えなど「
・国交省
→株式会社ヨリシロを経由で黒杉工業に大量のソーラーパネルの発注をしている。
黒杉工業からいくらかキックバックさせている? あるいは株式ヨリシロがさきに中抜きして国交省に還流している?
・黒杉工業
→社員や関係者に自殺者が多い疑惑の大手建設会社。
・音無霞、黒杉工業(?)との会食で性的暴行を受けたと六角中央警察署に相談にきていた。
被害届をすぐに撤回している。(黒杉工業の顧問弁護士が接触か?)
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「調書保管庫に入ってすぐの棚に置いてありました」
「調書のなかにあるその文字誰のかわかるか?」
「これですか?」
「それは署長の字だ。署長も立ち会ったんだろう」
「えっ?」
「署長も音無霞の事件を知ってたんだ。署長がもしその事件をなかったことにしたいなら保管庫の入り口になんて置いておかねーだろ。あえて置いておいたのは音無霞の事件を終わらせねーってメッセージだ」
「まさか」
「各警察署の署長は地域の有力者との癒着が懸念されるため転勤が早いんですよね」
戸村はいいながら女性警察官が打った文章をながめている。
「そ、それって」
「署長も黒杉との接近は命取りだってことだ。下手すれば本部の監察官聴取。メディアが気づけばかっこうの餌食になる。署長は署長室で椅子に座ってるだけのお偉いさんじゃねーんだよ。これが俺の憧れる雲の
「班長。じゃあ、も、もしかて署長はあえて黒杉とゴルフを」
「六角中央警察は六角市の秩序の砦だろ。仮に
「署長はリスク承知でみずから動いていたってことですか? 私はてっきり……」
「黒杉太郎が罪を犯しているなら署長は全罪状で送致する。署長ってそういう人だからな。俗欲く
「じゃあなんで
「黒杉側が
「署長はいったん退いたってことですか?」
「署長は退きどきを心得てるってことさ。だてに署長やってねーよ」
「……私、すっかり、誤解を」
「戸村さんよ。仮に黒杉も官房機密費に関与してるなると
「六波羅さん。私はその黒杉工業のことは、ついさっき知りましたのでそれはありません」
「そっかい」
「班長。
「真正面がダメなら横から。
「班長。私、反省です。班長と同じで口すべらせすぎました」
「おい!? 俺と同じってなんだよ」
六波羅がそういってまた――おい。とあごをしゃくった。
女性警察官は壁の時計に目をやる。
「そろそろ変態が動きだす時間ですね」
「いいかげん
六波羅は親指で自分の背中側をくいくいと指さした。
【最近、市内全域に変質者が出没しています。ご注意ください】
六角市の多くに貼られているポスターだ。
「わかってますって。別班のメンバーと合流して駅周辺パトロールしてきます。それにポスターを貼ってもらう協力店ももっと増やします」
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