第2話<3/4> Ep.1 遠回りさせられる僕
18時ちょうどでドアを閉めて職員室へ向かった。めずらしくアガクミ先輩も一緒に来てくれた。話の続きを所望されたのだった。
中央校舎の階段を上がって2階の渡り廊下に出ると窓からは少し朱色に染まり始めた夕陽が差し込んでいた。
「君たちの関係は、ユウスケくんから見てどういうものなのかな」
「僕らは互助会なんです。小学3年生の時、クラスが一緒だったんですけどちょっとしたゴタゴタがあって、みんな属していたグループから外れたんです。その時、僕らは親友としてお互いを助け合おうって誓った。それだけの事です」
「なるほどね。そして図書委員会をみんなの集まる場にしたんだね」
「それはミアキちゃん、古城さんが音田先生と知り合いだった事が全てですよ。僕、なんか嫌な予感しかなかったから来たくないって言ったんですけど、めずらしく他の二人が許してくれなくて」
「結果としては?」
「三人が揃う場所が出来て良かったです」
「私達も君たちが来てくれて喜んでるよ」
職員室に鍵を返して中央校舎1階の下足箱の所で徒歩通学のアガクミ先輩とは別れた。手を振ってくれた宇宙怪獣またはミス・スポック。ちょっとうれしい。
さて、帰ろうかと自転車置き場へ向かう。スマフォに着信があったので見たら母さんからメッセが入ってきていた。
おかん:あんた、今どこ?
ユウスケ:学校だけど。もう自転車乗るから30分もしたら帰るよ。
おかん:んー。いつものショッピングセンターで牛乳特売だから買ってきて頂戴。
ユウスケ:えー。遠回りじゃん。
おかん:行ってくれるよね?っていうか行け。
ユウスケ:分かった。
あそこに寄るとなると20分ぐらいはロスするよなあ。うちの母さんも中々息子使いが荒いと言いたいところだけど朝の事があるから言えない。
夕陽も地平線に沈んで薄暗くなり始めた頃に自宅に帰り着けた。牛乳の特売でこんな目に合わされるとは。ただ安くはないんだよな。僕もよく飲むし。となると結局自分の為になってるじゃないか。仕方ないよなと自分を納得させた。
マンションの駐輪場に自転車を止めて家の玄関に入ると何故か靴が多い。「?」と思いながらダイニングへ入った。
「母さん、牛乳買ってきたよ。えっ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます